出版社内容情報
「断念」という言葉を基調に、漱石、荷風、武郎、賢治、石原吉郎、高杉一郎、大江健三郎、大西巨人、桐野夏生らの諸作品を論じる。
内容説明
石原吉郎から借りた「断念」ということばは、石原の精神世界にだけ関わるものではなく、漱石、荷風の文学をも深く規定するものであることは明らかであろう。/「断念」は、通常は消極的な意味のことばである。しかし「断念」したがゆえにみえてくる世界というものがあるはずで、その意味でこのことばは、本書に並べた論文・エッセイの基調をなしていると考える。(「まえがき」より)
目次
1(漱石作品にみる「家族」と「姦通」;「運命の女」―『三四郎』と『草枕』;『腕くらべ』の世界―荷風と東京;付・『断腸亭日乗』と「紀元節」;有島武男とキリスト教;災害史のなかの宮澤賢治―その詩と『グルコーブドリの伝記』;叙事詩としての『夜明け前』)
2(大江健三郎初期作品における「自然」;大西巨人『神聖喜劇』をめぐって―東堂太郎の記憶力と反戦の論理;宮崎駿アニメと環境問題;桐野夏生『OUT』における「生と死」)
3(『若き高杉一郎』のその後;付・『文藝』編輯主任・高杉一郎;石原吉郎覚え書き)
著者等紹介
太田哲男[オオタテツオ]
1949年、静岡県生まれ。東京教育大学大学院文学研究科修士課程(倫理学専攻)修了。同博士課程中退。桜美林大学教授(日本思想史)。博士(学術)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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