内容説明
近松の『出世景清』における悲劇の方法、及び『曾根崎心中』『堀川波鼓』『心中天の網島』などの代表的世話悲劇の成立・展開を考察し、戦後の近世文学・江戸文化研究の先駆的一里程標を築いた画期的名著と関連論考を収録する。
目次
近松序説―近世悲劇の研究(近世悲劇への道;世話悲劇の成立;世話悲劇の展開;『心中天の網島』展開その三;『女殺油地獄』の位置;主題の分裂について―『丹波与作待夜の小室節』と『長町女腹切』;近松における「語り」と「ドラマ」―世話浄瑠璃について;紀海音;死と蘇生―『曾根崎心中』の「観音廻り」;語りもの演劇とことば―近松の芸論にふれながら;近松の時代浄瑠璃―歴史(過去)について、公的性格について
「観音廻り」のお初―出現のドラマ
悲劇について
民衆の作家近松―その人間的闘いの悲劇)