内容説明
医師の犯罪はいかにして行われたのか?背景とその後を検証する。
目次
第1部 前史、ナチ独裁に至るまで(近代医学の勝利;ドイツ精神医学史;優生学から安楽死へ ほか)
第2部 医師の犯罪1933年‐1945年(ユダヤ人医師の排斥;「遺伝疾患を持った子孫が生まれないようにする」ための不妊手術;「T4」行動 ほか)
第3部 ニュルンベルク裁判
おわりに 過去の暗い影
著者等紹介
バスティアン,ティル[バスティアン,ティル][Bastian,Till]
1949年生まれのドイツの医師で、作家として、また平和活動家として名高い。ナチ時代に関する研究者としても知られ、『アウシュヴィッツと“アウシュヴィッツの嘘”』(94年)などシリーズで4冊を出している
山本啓一[ヤマモトケイイチ]
1939年大阪府生まれ。山本医学鑑定研究所主宰。龍谷大学法学部非常勤講師。京都大学医学部卒業
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キムチ
24
ナチ医師の戦争犯罪がドキュメントタッチで綴られている。筆者は1949生の独医者。開業医だったが、今は文筆活動に専念。日本医師の戦争犯罪は世界では知られており、「反省の意思を独に学べ」とのキャンペーンもあったとか。日本ではナチ医師の戦争犯罪を正面から扱ったものが少ないため、山本氏が訳出に取り組んだという。筆者は「医学をアンダーグラウンドに持つ」人の訳出に安堵したとか。私は不勉強なため、当時のナチ医師の多さなどをアバウトにしか知らなかった。精神疾患・障害者・双子の残虐な研究、安楽死は若干読み知っていたが。2013/12/03
しげ
6
ホロコースト前夜には、蔓延する差別の心があった。侮蔑的なネットスラングが日常的に飛び交う「現在」は、ホロコースト前夜なのかもしれない。2016/05/24
みそぱん
2
医師たちがナチの拷問道具となるに至った背景から、医師たちの犯罪の具体例、ニュルンベルク裁判に対する評価が簡潔に述べられている。ナショナリズムのもと、人々の生命健康を守るはずの医師の手によって非人道的な殺人行為がたった70年前に行われていたこと、さらにその反省・総括が未だ不十分であることに衝撃を受けた。医師による戦争犯罪は日本でも行われていた。純真な医学者が狂信的な研究者になる危険は常にあると言わざるを得ないだろう。現代医学界はこの問題についての正面切った議論が急務だと思う。2012/09/27
児玉
0
概説書の域を出ないし、期待していた詳細なナチスの人体実験に関する記述も無し。値段不相応だが、話のネタにはなるかな、といった感じ。2015/06/10