内容説明
星は、人びとの暮らしにとって、どのような意味を持ってきたのであろうか。人びとは、どの程度、星を見てきたのであろうか。人びとの生活のなかで、星は、山や海と同様、日常的な景観であり、生活及び生業と密着した自然環境のひとつであったと考えることはできないのであろうか。星と暮らした人びとの「ことば」「歌」の力はものすごい。そこには、自然認識の力、生きる力、そして豊かな表現力…と、私たちが失ってしまったすばらしいものがいっぱいある。だからこそ、星と暮らした人びとが伝えてきた伝承を、今では役に立たないもの、非科学的なものとして捉えるのではなく、あるいは、ふるさと的なもの、ロマンを感じさせてくれるものとして捉える段階にとどまるのではなく、21世紀、人間の生き方を考えるにあたって多くのことを示唆してくれるものとして捉えていきたい。
目次
第1章 21世紀へ星の伝承を!―1999年・2000年の記録から(広島県尾道市正徳町吉和;広島県豊田郡瀬戸田町福田(生口島) ほか)
第2章 星が創る時間(星ぼしが教えてくれる時間;明けの明星 ほか)
第3章 北極星・北斗七星を考える(北極星を考える…;北斗七星(チソボシ)の歌を考える…)
第4章 生活環境としての星(環境としての星;大阪湾―星と人の環境史 ほか)
著者等紹介
北尾浩一[キタオコウイチ]
兵庫県に生まれる。群馬大学卒業。大阪教育大学大学院教育学研究科修了。星の伝承研究室主宰。1978年より星の伝承の調査を開始。東亜天文学会会員。日本民俗学会会員。日本社会教育学会会員。著書に、『ふるさと星物語』(神戸新聞総合出版センター)、共著に、『現代を生きる学び』(民衆社)、『ひょうごのこころ 6文化とのふれあい』(神戸新聞総合出版センター)、『続 日本アマチュア天文史』(恒星社厚生閣)がある
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