内容説明
中東における強大な勢力シーア派の思想を理解するためには、社会的、政治的事件にかかわる知識だけでは十分ではない。シーア派において決定的に重要な意味をもつのは、イマームと呼ばれるイスラーム共同体の指導者である。本書は、わが国ではこれまでほとんど研究されることのなかった指導者イマームを中心に、その生誕と歴史をたどりながら、現今のシーア派を取り巻く思想的状況を解明する。
目次
第1章 イスラームにおける宗教と政治―イスラームの学者(ウラマー)とは
第2章 シーア派の歴史―サフィーヴィー朝の時代まで
第3章 初代イマーム・アリー―完全なる人間の鑑
第4章 三代目イマーム・ホセインとタァズィーエ―歴史の中のパトス
第5章 四代目イマーム、ザイヌル・アーベディーン―イスラームのイラン化
第6章 六代目イマーム、ジャファル・サーデク―シーア派のロゴス的側面
第7章 八代目イマーム、アリー・レザーとその妹ファーテメ―聖都コムの事例を中心に
第8章 十二代イマーム・マフディー―十二イマーム派シーア主義の完成
第9章 イマーム論の現代的意義―現代シーア派思想家によるイマーム論
付録
著者等紹介
嶋本隆光[シマモトタカミツ]
1951年生まれ。大阪外国語大学ペルシア語学科卒業。UCLA歴史学科大学院修了。大阪外国語大学教授。専攻はイスラーム現代思想で、イスラームのシーア派に関する日本でも有数の研究者である(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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可兒
3
基礎固めに2013/07/13
富士さん
1
再読。シーア派12イマーム派に特化した歴史と神学に関する本は珍しく、興味深く読んだ記憶があります。シーア派でもファーティマ朝のシーア派とは違ったり、イマーム家にササン朝王家の血が流れていたり、キリスト教まがいの再臨信仰があったりと未知の事柄が多かったです。スンナ派神学とのちゃんとした対比やアラビア語用語とペルシャ語用語との関係も体系立てて押さえてくれていればなおよかったのですが、そこはしょうがないかもしれません。聖者崇拝、肖像使用、聖地創作、血統信仰・・・、それ本当にイスラム?と聞いてはダメなようです。2016/06/09
可兒
1
読み直し2014/02/28
thuzsta
0
人間に無謬性を求めてしまうところが危ういと思う。まあ、今はお隠れになっているわけだが。2012/01/28