内容説明
時代の要請で書かれた作品に、天才は何を仕掛けたか?四大悲劇の大シェイクスピア誕生を初期残酷劇の劇作術に見る。
目次
第1章 第1復讐枠の設定
第2章 第1復讐枠の空洞化
第3章 第2復讐枠の構築
第4章 タイタスの復讐の開始
第5章 タイタスの復讐の成就と悲劇
第6章 残酷劇からの誕生
結びにかえて 残酷劇としての悲劇『タイタス・アンドロニカス』
補論1 劇作家と演出家―『タイタス・アンドロニカス』の1955年のピーター・ブルック演出
補論2 日本における『タイタス・アンドロニカス』上演
著者等紹介
依田義丸[ヨダヨシマル]
京都大学大学院人間・環境学研究科教授。1948年京都市生まれ。1971年京都大学農学部卒業。1973年京都大学文学部卒業。1978年京都大学大学院文学研究科博士課程英語学英米文学専攻単位修得退学。滋賀大学経済学部講師、京都大学教養部助教授、同総合人間学部助教授、教授を経て2003年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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viola
6
ト書き特に「ひざまずき」を重要視したもの。シェイクスピア一番残酷な流血劇だと言われているけれど、それは本当なのか? シェイクスピア初期の悲劇のため、これからどういう風に他の悲劇と結びついていったのか・・・・色々考察されていて、わかりやすく読みやすい。 日本のシェイクスピア関連書で、1冊まるまる1作品論じているのって、『ハムレット』ばっかりで他は全然なかったりするので、こういう本がもっと増えたらいいのにーと思います。2010/04/06
サラ
0
『タイタス・アンドロニカス』における、残酷劇でありながら悲劇でもあるという、離れ業的試み。残虐な仕打ちを受ける人物たちと観客との間に距離をつくることで同情を薄くする。観客に余裕を与える。悲劇は、不運であることや哀れであることを伝えるものであり、残酷劇との同居はそもそも難しい。それを実現させてしまったのが、『タイタス・アンドロニカス』。2012/12/03