出版社内容情報
ドイツの黒森に発し,黒海に注ぐドナウ.東欧・中欧八か国を流れるこの約二九〇〇キロの大河の両岸には,多彩な文化に彩られた独特の「ドナウ世界」が広がっている.古代ローマの植民やハプスブルク家の時代から冷戦期を経て現在に至るまでの歴史を織り込みながら,多様な民族や宗教を軸に今も大きく揺れ動くこの地域へ案内する.
内容説明
ドイツの黒森に発し、黒海に注ぐドナウ。東欧・中欧8か国を流れるこの約2900キロの大河の両岸には、多彩な文化に彩られた独特の「ドナウ世界」が広がっている。古代ローマの植民やハプスブルク家の時代から冷戦期を経て現在に至るまでの歴史を織り込みながら、多様な民族や宗教を軸に今も揺れ動くこの地域へやさしく案内する。
目次
1 シュヴァルツヴァルトの森から(ドイツ)
2 甦る“ドナウ帝国”(オーストリア)
3 ゲルマンからスラブへ(チェコスロヴァキア)
4 ルーツはアジア系民族(ハンガリー)
5 “欧州の火薬庫”は、いま(ユーゴスラヴィア)
6 バルカンの深奥(ブルガリア)
7 スラブ海のラテン島(ルーマニア)
8 “赤きドナウ”の終焉(ソ連)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
336
その源流がドナウエッシンゲンかトゥットリンゲンかで争われているが、いずれにしてもシュヴァルツヴァルトの森に端を発し、黒海のイズマイル(ウクライナ)まで延々2900km。ドナウは、ラインとともにヨーロッパ有数の河川である。そして、ドナウは西から東へたくさんの国境を超えて貫流する。「ミッテル・オイローパ」と言われるように、それは単に地理的にヨーロッパの中央を流れるのみならず、流域の各国、各都市を繋ぐ歴史的、文化的なある領域を形成しているのである。いつかドナウの全流域をを船で航行したいものである。2020/09/11
KAZOO
116
私には懐かしいドナウ河の紀行の本です。大昔ドイツにいたころにクリスマス休暇でドイツのドナウ河の源流近くからオーストリアまで旅行したことを思い出しました。ドナウというのはドイツから東ヨーロッパを抜けて黒海に流れ込んでいます。その途上の風景を描いてくれています。この本を読んでいると昔読んだ宮本輝さんの「ドナウの旅人」をまた読みたくなりました。2016/01/18
kaizen@名古屋de朝活読書会
64
ドナウ河すごい。多くの国にまたがった河の課題はまだよくわかっていない。東西ドイツの統合に合わせて、時代を反映した記述になっているところが著者の自慢らしい。ドイツ、オーストリア以外は訪問したことがないので内容の妥当性はよくわからない。「紙幅の都合上文献表は思い切って割愛した」。思い切ったなら、全部掲載して欲しかった。紙幅の都合って何でしょう、本書は約230頁だが、約240頁あるものもある。10頁分文献表にしてもよい。とても残念。https://bit.ly/3RF0T1w2013/05/13
futabakouji2
12
この本は読んで良かった。まず、ドナウ河と聞いて、思い浮かぶのはハプスブルクのことぐらいしかなく、ドナウの起点や歴史についてさっぱり知らなかった。読んで、どこに流れているかよくわかった。最初はドイツから流れて、最後は黒海までいくことを地図を見ながら知った。ハンガリー真ん中に流れているなんて知らんかった。ヨーロッパの動脈であったが、ソ連時代は共産圏の支配を固めるためにソ連が共産圏に流れるドナウ河に影響力を持っていた。しかし、崩壊後はヨーロッパを流れる大動脈として復活したのだろうか?興味を湧かせる本でした2018/12/13
あんころもち
12
地図上で英独仏のあたりから眺める形でしかヨーロッパ史を考えてこなかった私には実に新鮮だった。川を辿るだけで10国弱の歴史・文化を味わえる書。2016/05/29