内容説明
冬季直混合が阻害され、深層部の貧酸素状態が観測される等、温暖化は湖沼の水質や生物相に深刻な影響を及ぼす。所在環境や水塊としての大小・深浅等により、独特の物理・化学機構を持つ湖沼に対する環境変動の影響を明らかにした初の成書。湖沼の物理や生態についての基礎的知識も詳しく解説。環境科学・生物学専門家必携。
目次
序章 温暖化時代の湖沼学(温暖化の実態と将来予測;人為擾乱と湖沼学―富栄養化を例に;温暖化の湖沼学という新たな挑戦;本書の構成と概要)
第1章 顕在化する温暖化影響(温暖化に対する湖沼の応答;日本の事例)
第2章 湖沼物理過程(湖沼における素過程;流れ場モデル;湖沼の流れ;乱流と混合;湖岸境界過程;成層境界過程)
第3章 湖沼生態系(一次生産;沖合生態系の食物網;有機物の鉛直輸送と深層・堆積物における物質代謝;湖沼生態系に対する温暖化影響;魚類・底性動物に対する温暖化影響)
第4章 温暖化を踏まえた湖沼管理にむけて(数値モデルによる影響評価;温暖化影響評価の汎用的な指標;今後の課題)
Appendix ナヴィエ・ストークス方程式とレイノルズ分解