内容説明
プラトンと並ぶ愛弟子が、在りし日の師に思いを馳せ綴った「追想記」の新訳。ソクラテス言行録第一弾。
著者等紹介
内山勝利[ウチヤマカツトシ]
京都大学名誉教授。1942年兵庫県生まれ。1975年京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。関西大学教授、京都大学教授を経て2005年退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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singoito2
9
上下2分冊化と思ったら、言行録は本巻のみ。プラトンよりももっと世塵にまみれ人間くさいソクラテス像が描かれていました。クセノポンのソクラテスに対する敬愛も感じられました。2024/05/06
roughfractus02
7
既に邦訳のある『ソクラテスの思い出』に当たる本巻だが、著者の描くソクラテスの対話がプラトン描くいわゆる真理の産婆術ような、形而上学への道を開く方法と異なる点に気付かされる。本書での対話は賢者として生きるための修養を目指す行為に重点が置かれ、人間の法を遵守する正義、肉体の快楽を自制する自由、特定の人に役立つ善などが観念でなく実践の側から紹介される。その目的はソクラテスに対する「神々を敬わず若者を教育して堕落させた」という法廷の告発状への反駁にあり、神々を敬い、人間の法に従うソクラテスの生き方を強調している。2022/06/28
ちゅーえ
1
クセノポンがソクラテスの言動などをまとめたもので、良い市民だったことを主張することに主眼が置かれている。 確かにここに書かれているソクラテスはどことなく、坊さんのようなイメージが強い。 良き友を得たければ、友に対して有益な人間でなければならない、など現代にも通じる話も多く出てくるので、古典ながら普通に読める。 だが、哲学とかを求めていると肩すかしをくうかもしれない。 よく言われるようにプラトンを読んだ後、人物像を立体的にとらえるためのものとして価値がでるものなのかもしれない(ちなみにプラトンは未読)。2012/04/13
Βουλγαροκτόνος
0
ソクラテスの実像を掴むために、近年クセノポンが着目されている。本書も書かれた内容は十分に整理されていないが、会話が多くリズミカルに読める。倫理の教科書でソクラテスの「問答法」を学んだ人にとっては、これがそうなのか、と思わせる良書。プラトンを含めた続刊が7月末刊行予定で、こちらも非常に楽しみ。2022/06/24