内容説明
エジプト宗教やギリシアの神託をめぐる神学談義。デルポイ神官である著者が得意の思索を展開する。
目次
イシスとオシリスについて
ピュティアをめぐる対話篇(デルポイのEについて;ピュティアは今日では詩のかたちで神託を降ろさないことについて;神託の衰微について)
著者等紹介
丸橋裕[マルハシユタカ]
兵庫県立大学教授。1954年大阪府生まれ。1988年京都大学大学院博士課程学修退学。2004年京都大学博士(文学)。2006年神戸大学非常勤講師等を経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いとう・しんご singoito2
11
デルポイの神官としての神学と哲学を横串にする論文集。「神託の衰微について」についての「神々と人間との中間的存在であるダイモーンの種族」P254を巡る議論が興味深かった、だって新約聖書では「ダイモーン」は「悪霊」と訳されているから。新約聖書の成立時期における様々な神学や哲学思想を垣間見るという意味でも興味深い本でした。2024/04/09
roughfractus02
8
哲学ではアカデメイア派に属する著者は異なる神話の神々をイデアの個々の表現と捉える。エジプトの神々をギリシアの神々に置き換えて神話一般や神の概念に抽象化する彼の神話学は、イデアが世界を作るというプラトン的世界観に依拠する。こうして普遍性から世界を見ると、時間は「衰微」として現われる一方、宇宙を創成する神話の中に宇宙の一般法則を見出す意志も生まれる。太陽と月の原理であるイシス(土)とオシリス(水)。さらにセト(火)、ホルス(空気)を加えて四大元素を成すエジプトの考えは、ギリシア神話に法則を見出す契機となる。2019/06/19
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