内容説明
人肉食、近親婚、自殺の肯定など古来物議をかもした断片を含み、後継者らの思想をも収載する。一大資料集ここに完結。本邦初訳。
目次
第1部 クリュシッポス(クリュシッポスの思想)
第2部 クリュシッポスの弟子および後継者(タルソスのゼノン;バビュロニアのディオゲネス;タルソスのアンティパトロス;セレウケイアのアポロドロス ほか)
著者等紹介
山口義久[ヤマグチヨシヒサ]
大阪府立大学総合教育研究機構教授。1949年青森県生まれ。1978年京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。2005年大阪府立大学総合科学部教授を経て現職
中川純男[ナカガワスミオ]
慶應義塾大学文学部教授。1948年広島県生まれ。1976年京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。1993年大阪教育大学助教授を経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
5
クリュシッポスの倫理後半を収める本巻では知者と愚者が区別される。倫理は人知の自然への適用範囲と限界を知るか否かで区別される。彼にとって愚者とは、知の限界を知らずに自然に自らの知を無制限に適用する者であり、さらに、自然が人間の知を超えると知っても自然の中に超自然的な神の意志(決定論)を見出す者である。この両極端の態度を避けるには、自然を問いかけ(原因)の連鎖と見做し、答えを期待しないように努める知識、勇気、正直、節制を旨とした中道的態度を他の人に対しても行なう必要がある。なぜなら人も自然の一部だからである。2019/07/16