内容説明
ストア哲学の真骨頂とも言うべき倫理学思想。その基礎論を厖大な資料をもとに再現する。本邦初訳。
目次
第1部 クリュシッポス(クリュシッポスの思想(承前)(倫理学))
著者等紹介
中川純男[ナカガワスミオ]
慶応義塾大学文学部教授。1948年広島県生まれ。1976年京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。1993年大阪教育大学助教授を経て現職
山口義久[ヤマグチヨシヒサ]
大阪府立大学総合科学部教授。1949年青森県生まれ。1978年京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。1997年大阪府立大学総合科学部助教授を経て現職
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感想・レビュー
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roughfractus02
6
宿命論と自由意志の両立を主張するクリュシッポスの考えはキケロらに批判される。が、超自然的な神による決定論的世界に対し、人をダイナミックな自然の一部に組み入れ、人の能力を超えた自然が引き起こす困難に従う彼の倫理は「運命愛」と呼ばれ、後にスピノザやニーチェに継承されていく。本巻のテーマは自然と人との関係を扱うストア派的倫理である。クリュシッポスにおいて、魂と身体は徳と密接に関係し、人の高貴さとは英雄的な行動にではなく、身の丈を超える自然の力に対する知力と共感力(humanitas)の維持という点に見出される。2019/07/15