内容説明
古代におけるユダヤ人迫害の実態を証す、重要史料。自ら使節となった哲学者が告発する。本邦初訳。
目次
フラックスへの反論
ガイウスへの使節
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いとう・しんご singoito2
9
「古代エジプトの日常生活」を図書館で探しているときに目について借りてきました。AD38年夏にアレキサンドリアで起きたユダヤ人共同体に対する襲撃略奪事件や当時のカリギュラ帝の反ユダヤ的政策について知ることが出来ました。ヘロデ・アンティパス1世が登場してきて、彼について色々と知ることが出来たのも収穫です。次にヨセフスの「古代誌」を読めば、もっと知識が増えて、新約聖書の理解が広がりそうです。2023/02/11
roughfractus02
7
ガイウス(カリギュラ)帝はパレスチナでのユダヤ人が組織した熱心党のローマ官吏襲撃が属州に波及する事態に、エルサレム神殿へのゼウス像建立を企てユダヤ人を迫害した。本書はアレクサンドリアでのユダヤ人代表として各所の暴動を収束するために活動したユダヤ人の著者の詳細な記録である。一方、ユダヤ長老たちのシリア総督ペテロニウスへの嘆願に関する詳細が記された本書だが、平和主義が強調され、過激化する政治的メシア主義への言及が見られない。中期プラトン主義とユダヤ終末論の統合を試みる著者の思想は、その文体からも垣間見える。2022/08/03
刳森伸一
4
古代のポグロム(ユダヤ人に対する迫害)を今に伝える貴重な資料を二篇所収。いずれもタイトルからは分かり辛いが、フラックスやガイウス(カリギュラ)がユダヤに対して行った行為とその報いを扱った文章である。何のために書かれたのか今一つ分からないのだが、少なくとも古代ポグロムを知りたい人にとっては必読の書だと思う。2016/01/10