内容説明
西洋古代後期の代表的「知」の達人が、プラトン、ストア派思想を縦横に読み解く。
目次
プラトン哲学に関する諸問題
『ティマイオス』における魂の生成について
『ティマイオス』における魂の生成について―摘要
ストア派の自己矛盾について
ストア派の人々は詩人たちより不合理なことを語っていること―摘要
共通観念について―ストア派に答える
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
7
アムモニオスからプラトン哲学を学んだ著者は哲学より弁論術、宗教、倫理に興味を持ち、同じ方面のストア派の考えも学んだ。一方、著者の両者への態度は「生成」「生起」概念に現れる。『パイドロス』で魂は生起しないといい、『ティマイオス』で生起するというプラトンの矛盾を突く著者は、魂を理と調和を分有させた神の永遠性の現われとする考えに無理がある、とする。また、ストア派のクリュシッポスが生命の起源を火としつつ精気の冷却にも起源を求める点に異議を唱える著者は、自然を超えた起源設定を批判し、自然に則った生命世界を主張する。2019/06/26
いとう・しんご
6
プラトン解釈の論文とストア派批判の論文を3本ずつ収録、前者のうち1本は偽作。プラトン解釈はプルタルコスの独自解釈も含みつつ、一定の中庸の徳を示していて受け入れやすい。ストア派批判は当時の極端な相対主義とその果ての虚無主義に対する強烈な反発を感じさせるけど、とにかく批判ばっかりで断片的な議論の羅列でイマイチ面白くなかったです。2024/07/23