内容説明
「食」をめぐって蘊蓄の限りをつくす西洋古典の屈指の奇書本邦初完訳なる。
目次
序 列席者の紹介
序 ラレンシス讃
気前のよさは裕福な人のつとめであること
食道楽と教養
ピロクセノス
もうひとりのピロクセノス
アピキウス
ミュコノス人の貧しさと不評・押しかけ客
節制
飲酒〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
6
マルクス・アウレリウスがゲルマン方面の戦争の中『自省録』を書く2世紀、ナイル川河口の植民都市で本書を書いた著者は、世界を背負い、抽象的イデアに向かう言葉を、身の回りの些細な話題を表す役割に連れ戻す。当時の有名人の名で呼ばれるが別人とされる歴史家、文献学者、哲学者、医者が膨大な古代の書物を引用しつつ、食卓に並ぶ食べ物や調味料、ぶどう酒、水、果物から、宴席での歌や宴席の椅子、掛布へと変転し続ける本書は、古代ギリシアの賢人たちが食卓を囲み、エロースなる単一テーマを語り合うプラトン『饗宴』のパロディとなっている。2019/07/26