出版社内容情報
04年6月、長崎県佐世保市の小学校で、6年生の女児が給食準備中に学習ルームで同級生をカッターナイフで切って死亡させた。
過去に例を見ないこの事件では、加害女児がはまっていたとされるインターネット上のホームページやチャット、熱心に読んでいた小説『バトルロワイヤル』などの影響も大きいのではないかとされてきた。事件を解く鍵はどこにあるのだろうか。
本書『11歳の衝動』は、朝日新聞に掲載された記事を再編成した第一部「事件の経緯」、長崎県教育委員会の調査報告や裁判所の審判結果、加害女児の書いたイラスト、作文、小説をのせた第二部「資料編」、芹沢俊介氏・高岡健氏が事件について解説した第三部「事件を考える」で構成されている。
加害女児が求めていたものは何か。子どもたちが置かれている状況について、いまこそ大人たちが真剣に考えるときではないだろうか。
仲良しだったはずのふたりの間に何が起きたのか? 未然に防ぐことはできなかったのか?
内容説明
仲良しだったはずのふたりがなぜ?未然に防ぐことはできなかったのか?事件の経緯、県教委の調査報告、裁判所の審判結果、加害女児が交換ノートに描いたイラスト、作文、HPへの書き込み、などを収録。
目次
第1部 事件の経緯(事件発生;ネットの世界;「オリバト」 ほか)
第2部 資料編(御手洗恭二さんの手記、長崎県教委調査報告、家裁審判決定など;女児の作文、イラスト、ホームページ(HP)など)
第3部 事件を考える(我が子を喪うということ;心の教育は不要だ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鈴
24
10年前にもなるのかー。しかも同じ長崎での駿くん事件はこの事件の1年前だったとは。元気に生きていたら怜美さんは22歳、駿くんは15歳だったのか。人の時間を止めるって、なんて罪深いんだろう。普通の事件レポとは違い、資料が豊富で驚いた。被害者や加害者の作文、絵、詩、小説まで載っている。わたしもちょうど、小6くらいのときは友達と交換日記で絵を描きあったし、時には他の友達をはさんでヤキモチめいたこともあった。すごく被害少女加害少女ふたりに似ていた。それくらいありがちな少女のいざこざなのに殺人事件に発展するなんて。2014/11/15
いっちゃん
13
親が子供の学校生活を知るには、限界があると思う。仲が良いと思っていた子にいじめられていたり、毎日一緒に遊んでいると思ったらそれが辛かったり。なかなか全部はみられない。加害者の親が攻められている部分があるけど、同じ親として辛い。育てしやすい子だったから、ほっといて寂しい思いをさせた。事件後に分析したってって思うけど、分析くらいしか日本の社会はしてくれないのかも。加害者の子は何で殺したんだろう。悪口言われてムカついただけで、人を殺せるものなのか。もっと深い闇がなかったのか。自分の子育てが正しいのか不安になる。2015/03/03
ヒラP@ehon.gohon
9
実際に起きてしまったことは変えようがない。どうしてこんなことが起きたのか、分析しても悲しみは癒せない。答えの見つからないもどかしさを感じながら、社会に隠れた落とし穴の深さに震えてしまった。2016/02/18
澤水月
8
報道人が被害/空想癖強くホラー好き作家志望少女が加害と自分に共通する要素多く多いに注目した事件。加害少女の絵や小説などいきなり1級資料多く仰天(毎日支局長だった父の、混乱期の手記掲載も痛ましく貴重だが重複されすぎ、分析は余計なお世話)。事件分析というより羅列、時系列混乱、繰り返し…。04年、mixi元年とっくに子供はネットにダイブ…忘れてたな。加害少女はもう成人、世に出たろうか。映画「乙女の祈り」元ネタ事件の加害少女は国移り作家として成功したが…本件は空想癖放棄=更正とされているようで少し首ひねる(81p2013/11/11
絵具巻
5
文京区立根津図書館で借りました。2015/07/14