内容説明
三十数億年前に生命が誕生して以来、多様化してきた生物は食べものを求め、環境に適用して生きてきた。一千万種の生物も人も些細な点で多くの相違はあるが、「生まれて、食べて、産んで、死ぬ」ことだけは相違がない。本書は、「食」という視点で生物の適応と多様化を眺めることで見えてくること、ヒトによる食料生産が地球上の他の生物と人に何をもたらしているかを探り、考える。
目次
1 食べるとはどういうことか―そこからみえてくるもの
2 生物多様性への道のり
3 生物の世界を支える光合成の進化
4 食べまわしがつくった物質の循環構造
5 自然からはみ出たヒトの来た道
6 自然の中に食料を求めて―狩猟・採集生活の時代
7 後氷期の世界にはじまった食料生産
8 肥料革命と農業の変貌
9 食料生産のもたらしたもの―農業は人類の原罪か
10 おわりに―「職業としての学問」と私
感想・レビュー
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未来来
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生物の分化・進化を通じ多様な姿を眺めながら、生物を支える食べる事について植物の無機物から有機物を作る光合成から始まる物質循環を追っていきます。そこから人類の食料獲得・生産の歴史へと繋げて、農業革命と産業革命がもたらした現代の人類が行う食料生産の歪さを垣間見る事になります。植物と植物の戦略の違いの面白さを味わえるだけではなく、工業化する農業・畜産への問題意識を植え付けてくれました。進化の表現の古さ等引っ掛かる点があるものの、主題は進化そのものでは無いので許容範囲に入れられなくもありません。《大学図書館》2010/01/12