内容説明
漢代の学術・思想研究の大方は文献考証に明け暮れするので、その作業の中でいつしか文献考証における「勘」のごときものも幾ばくかは体得した。本書の前半は、そうした中国古典学一般に関わる書き物を編んだ。後半には、京都大学中国哲学史研究室の先達の業績について記した論考を集めた。
目次
中国古典における訓詁注釈の意義
訓詁の虚と実
輯佚の難と校讐の難
「序在書後」説の再検討
『潜夫論』版本小考―とくに元大徳本について
『国語』韋昭注への覚え書
京都大学における春秋学研究の伝統
小島祐馬評伝
名著紹介 小島祐馬著『中国思想史』『古代中国研究』
湯淺廉孫・幸孫二代の蔵書
著者等紹介
池田秀三[イケダシュウゾウ]
1948年大阪市生まれ。京都大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さとうしん
2
著者の古典文献学に関する論考を中心に集めたもの。原典とは別に注釈書はそれ自体が独自の世界観と価値を有しており、中国の思想家は注釈によって自己の思想を形成してきたというのが全体を通じてのテーマとなる。本筋とは関係ない部分であるが、134頁の補説[四]で清華簡『尚書』の発見が『偽古文尚書』のテキストの正統性を高めることになるというコメントは逆ではないかなと。咸有一德にしろ説命にしろ、むしろ現行のテキストが偽作であることを示す材料ではないかと思う。2015/02/15
ふみ乃や文屋
0
東日本に住む私は、都合東大の学統に触れることが多く、京大系の論考は興味を覚えるところであった。2016/03/30