内容説明
書に親しんだ70年の経験が、石川メソッド「書通九則」としてコンパクトに集結。九つの法則を知れば、目からウロコ、誰にでもほんとうに書がわかるようになります!
目次
プロローグ 「書通九則」を理解するために(書の見方の四つの誤解をとく;書とはどういう芸術か)
本編 書通九則(文字の点画は、“形”ではない。“触覚”のかたまり;文字は、点画“ベクトル”の集合体;文字と行は“重量”のかたまり;文字の形象は関係の総和―同じ文字は二つとない;文字を書くのではない。新しい余白(世界)をつくる
起筆(始まり)と終筆(終わり)に注力せよ
つくる送筆とできる送筆のちがいを知れ
一字が万字―最初の文字の第一画の起筆がすべてを決定する
一人称臨書で書をつかまえよ)
エピローグ わかれば楽しい書の世界(書ほどやさしいものはない;書ほど楽しいものはない)
著者等紹介
石川九楊[イシカワキュウヨウ]
1945年福井県生まれ。京都大学法学部卒業。書家。京都精華大学客員教授。著書に『書の終焉―近代書史論』(同朋舎出版、サントリー学芸賞受賞)、『近代書史』(名古屋大学出版会、大佛次郎賞受賞)『日本書史』(名古屋大学出版会、毎日出版文化賞受賞)ほか多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ムーミン
17
字の表層でなく、魂の部分に触れる「書」の世界の存在を知りました。2022/06/18
袖崎いたる
11
書に魅了されるのには十分な一冊。天地の流れを意識しなければ美は生まれない、と言い切る凄みたるや、尋常じゃない。天から地へと垂直にはたらく重力を意識すること。そして触覚を研ぎ澄ませること。紙面でさえ、重力は書き手にとっての奥から手前へとはたらいている。や、やってみたい。。。起筆、送筆、終筆、とか念じてみたい。。。2019/10/10
コトノハ小舟
7
近所の書道教室に気軽に通っていた私はなかなか度肝を抜かれました。書とはこんなすごいものだったのか。。!まず、書の土台には触覚があるというのには初心者なりに腑に落ちるところがあった。触覚は全ての感覚のベースにある。他者の書をその人になったつもりでなぞることにより、その人になることもできる、というのに、ほうほう、と身を乗り出す。それが「一人称臨書」。子供の頃、お手本を手でなぞっていたのは理に適っていたのだ。作者の教えてくれたこと、私にとってはいちいち目が開かれる思い。書、おもしろい!2022/11/09
Tomonori Yonezawa
5
【県立図書館】2019.7.20初版1刷▼全九則九七頁、見開きで左作品、右解説。九楊が初心者に向けた書道の案内書?▼著者の書はキン肉マンの世界線に行ってて「おお!言葉の意味は分からんがとにかくすごい自信だ!」的なもんがあるが、趣味の文具箱vol.35を見ると普通の字は惚れ惚れする程見事。▼余白の主張やなぞれば分かるは面白かった。拓本の白黒反転は使うなには同意。令和筋交論なんて、そこそこ書いてこないと分からんだろうな。▼この本だけだと迷子になると思うので、他の本と併用を推奨。著者の本は初心者向けではないよ。2021/12/18
読書記録(2018/10~)
3
易しいが観念的な本。「文字を書くのではない。新しい余白(世界)をつくる」は素敵。確かに最初の文字の第一画の起筆は緊張する、それは紙が「表現世界へと一変する」から。「起筆は、決断のありよう」なのだ。気が引き締まる。臨書については、時空を超えて筆運びを再現し追体験する、作者と対話したりなりきることも不可能ではない、と書かれており、まさに我が意を得たりと背中を押された。2021/12/13