内容説明
名著・名作の宝庫、岩波文庫は実は「傑作挿し絵」のWonderlandだった。
目次
幕開け 意外?岩波文庫は多彩で充実した貴重な挿し絵の展示館
池内紀編訳『ホフマン短篇集』『ウィーン世紀末文学選』 この四冊の「絵のある」岩波文庫の共通点は?
シャミッソー(池内紀訳)『影をなくした男』池内紀編訳『カフカ寓話集』 「目玉」と「望遠鏡」の芋づる式連続に呆然!
谷崎潤一郎『蓼食う虫』芳賀徹編『小出楢重随筆集』 大谷崎とがっぷり四ッ小出楢重描く“大切な雰囲気”
谷崎潤一郎『幼少時代』 谷崎の執拗な女体礼賛を淡々と描いた清方の筆
山田肇編『鏑木清方随筆集』『随筆集明治の東京』 明治東京への深い情愛清方の随筆は日本人への遺産
ルナール(辻昶訳)『博物館』 ルナールの『博物誌』の挿画をあの二人の画家が競作
ロンゴス(松平千秋訳)『ダフニスとクロエー』 『ダフニスとクロエー』の挿画家・ボナールにどっぷり漬かる
寺田寅彦『柿の種』 物理学者にして俳文的随筆の名手寺田寅彦の挿画を楽しむ
木下杢太郎(前川誠郎編)『新編百花譜百選』 メランコリーな“文理”両道の巨人 木下杢太郎の素描の技倆〔ほか〕
著者等紹介
坂崎重盛[サカザキシゲモリ]
1942年東京生まれ。千葉大学造園学科で造園学と風景計画を専攻。卒業後、横浜市計画局に勤務。退職後、編集者、随文家に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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へくとぱすかる
64
岩波文庫がこんなにも挿絵、ビジュアル面に力を入れていたとは、改めて驚き。ここまで紹介されたら、ぜひ読んでみたくなる。もちろん絵だけではなくて、どんな作品なのか、著者の目を通しての紹介だけに、あらすじだけでゴマカすようなところは皆無だ。「ダフニスとクロエー」とか「脂肪の塊」「地底旅行」「レ・ミゼラブル」など、大部で読むのが大変そうだけど実に魅力的。2019/06/06
がらくたどん
13
本棚整理。岩波文庫を「挿絵」というキーワードで蒐集した力作。古典・名作のイメージが強い岩波文庫に、たくさんの「挿絵」が収録されている事にまず驚く。しかも、元の書籍から転載しているものがほとんどなので、挿絵家も著者にまけないくらい有名人(らしい)。どのくらい有名かは、本書の熱い解説文を読むとわかる仕組み。こちらは、未読作品も多いので、ただただ「ほほ~、へえ~」と驚くばかり。読書案内かというと・・どうだろう。何といっても、キーワードは「挿絵」だし。でも古書店に必ずある岩波ワゴンには行きたくなる♪2021/02/18
ぱせり
10
挿画入りの岩波文庫、こんなにたくさんあったなんてびっくり。しかも、ジャンルをこんなに広々と網羅して。ロートレックにボナール、ドレ・・・鏑木清方、岸田劉生、棟方志功・・・寺田寅彦や正岡子規の自筆の挿画を飾る随筆集・・・「サロメ」をめぐるオスカー・ワイルドとビアズレーの確執やら、ディケンズとサッカレーの微妙な雰囲気・・・挿画は、思いがけない小話をも語ります。楽しい楽しい。出てくる本が端から気になってしかたがありませんでした。2011/10/09
hyoshiok
9
いろいろな意味でやばい本。絵のある岩波文庫の紹介を読んでいると、その本を読んでみたくなる。絵があるという共通点だけで選書されているので古今東西さまざまな本が紹介されている。「完訳ナンセンスの絵本」「イギリス民話集」「日本児童文学名作集」「脂肪の塊」「メゾンテリエ」「断腸亭日乗」「墨東綺譚」「地底旅行」「八十日間世界一周」「サロメ」「ほらふき男爵の冒険」「レ・ミゼラブル」「ボズのスケッチ」著者が購入したきっかけを読むのも楽しい。ちょっとした思いつき、発見が、こんなことになろうとは。サイコーな一冊。2018/01/08
アルラ
9
坂崎さんの文章は気どらず読みやすかった。どうしても固いイメージがする岩波文庫だが、こうやってみるとなんともスゴイ方々が挿絵を描いている。あぁなんて贅沢で楽しいの…ジュール・ヴェルヌの冒険小説を手にした当時の少年達のワクワクドキドキが容易に想像できる。また木村荘八描く東京の風景も実にいいなぁ。それに現代のわたし達が見てもドキッとするような前衛的な絵や、これちょっとまずいんじゃない?的な風刺画もバンバン載せちゃう…当時の本作りに対する情熱が伝わってくる。表紙は銅版画の山本容子さんが素敵にアレンジしている。2011/06/18
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- 和書
- うえから京都 ハルキ文庫