出版社内容情報
線形代数をわかりやすく解説。量子力学への応用を視野に入れた、理系学生の必読の書。
線形代数とは/ベクトル/行列/行列式/行列とベクトル/量子力学と線形代数/ベクトルと行列式
わたしの研究室に来る卒論生や大学院生に、大学数学で何が苦手か尋ねたところ、驚いたことに、線形代数と答えた学生が非常に多かった。線形代数は、概念自体は簡単であるから、それほど苦にはならないと思っていたが、一見簡単そうでいて、その本質が分からないということが原因かもしれない。
いくつかの入門書をひもといたが、線形代数そのものに新しい概念はないと指摘しており、ひどいものでは一夜づけでも試験に対応できると書いてある。確かに、線形代数の主な効用は、変数が多い連立1次方程式をいかに整理して解法するかにある。連立1次方程式を解くだけならば、中学生でも何とか対応できるから、それほど重要とは思えない。このため、線形代数は、その概念ではなく表記法だけで数学の地位を築いた学問とも紹介されている。これでは、大学で学ぶ価値がどれほどあるのかと疑問に思う学生も多かろう。
しかし、そう思って油断していると、途中で迷路に入り込んだ気分になってしまうのも線形代数である。線形代数の構成要素に行列と行列式があるが、これらは名前は似ていても、その基本的考え方がまったく違っている。これを明確に認識せずに、中途半端な状態で連立1次方程式の解法を行って
大学の数学と物理教育は、この著者にまかせましょう。わかりやすく、ていねいに展開し、読者を納得させる。
内容説明
線形代数の主な効用は、変数が多い連立1次方程式をいかに整理して解法するかにある。連立1次方程式を解くだけならば、中学生でも何とか対応できるから、それほど重要とは思えない。しかし、そう思って油断していると、途中で迷路に入り込んだ気分になってしまうのも線形代数である。線形代数の構成要素に行列と行列式があるが、これらは名前は似ていても、その基本的考え方がまったく違っている。よって、行列と行列式が違うということを明確にすることを、まず本書の目的とした。さらに、線形代数は20世紀物理界の最大の成果と呼ばれる量子力学の建設に大きな役割を果たしたのであるが、この事実が意外と認識されていない。量子力学と線形代数の見事としか言い様のない融合を知らずして、その効用を語ることはできない。線形代数が単なる表記法だけの数学ではなく、物理界を根底から変革する学問の建設に大きな役割を果たしたという事実を本書を通して認識してほしい。
目次
序章 線形代数とは
第1章 ベクトル
第2章 行列
第3章 行列式
第4章 行列とベクトル
第5章 量子力学と線形代数
終章 ベクトルと行列式
著者等紹介
村上雅人[ムラカミマサト]
1955年、岩手県盛岡市生まれ。東京大学工学部金属材料学科卒、同大学工学系大学院博士課程修了。工学博士。現在、超電導工学研究所第三研究部長。岩手大学客員教授。1972年米国カリフォルニア州数学コンテスト準グランプリ、日経BP技術賞、World Congress Superconductivity Award of Excellence、岩手日報文化賞ほか多くの賞を受賞
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しんすけ