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内容説明
山姥とはなにか。邪悪な鬼女か、豊穰の女神か。古事記、日本書紀から今昔物語、能、歌舞伎、そして大庭みな子らの現代小説にいたるまで、新しくよみがえり続ける山姥。この魅惑の女性原型をめぐって、研究者、作家、詩人、刺繍家ら12人が織りなす挑発的なアンソロジー。
目次
1 山姥の起源を探る(山姥の舞―能楽「山姥」にみる女たちの芸能の伝統;魔女と山姥の『マクベス』―サイクル・リサイクルする物語の力;中国の「山姥」伝説;アイヌ民族の女性の誇りをつむぐ―創生神話と精神世界;沖縄の女性原型―族母としてのノロと弾圧されるユタ)
2 山姥を語りなおす(山姥探訪―女性の抵抗をめぐって;一葉と小町伝説―「山姥」への旅;山姥の歌―与謝野晶子の短篇「故郷の夏」を読む;「女詩人」と「山姥」的なるもの―高群逸枝論;「神話の娘」は「老いたる鬼女」へと―詩人・永頼清子;山姥は笑っている―円地文子と津島佑子)
著者等紹介
水田宗子[ミズタノリコ]
1937年、東京都生まれ。城西国際大学教授
北田幸恵[キタダサチエ]
1947年、北海道中標津町生まれ。城西国際大学教授
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感想・レビュー
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toriaez
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まず一言。「かっこいい」。父権的社会原理へのカウンターカルチャーとしての山姥。規範を無効化する混沌。しかし単にアナーキーなのではなくて、サブタイトル通り「女性のかたち」をもった表象。規範に排除された側面の集合体に重ねられる、地べたをひた歩き老いてきた肉体。その足でなおも孤独の山を駆け巡り、無数の対立軸を越えて回る。そんな山姥のイメージに仮託した「語り直し」のなかで、名前すら奪われてきた女たちの声が再生される。/規範のなかで抑圧されてきた無名のひとびとの声の「語り直し」は、つまりは人間性の回復だと思う。2020/03/29