内容説明
ヒロインたちの境遇を描き分けることで、近代夜明けの女の生き難さをくっきりと浮かび上がらせた女性作家・樋口一葉。〈性差の規範〉を超えゆこうとした表現の全体像を「女性の視点」でとらえた画期的論集。
目次
〈作家〉一葉誕生のとき―初期作品をめぐって
自死の自己表現―『別れ霜』論
封じられた言葉の行方―『うもれ木』の深層
抵抗としての〈空白〉―『花ごもり』試論
越境する女・お蘭―『やみ夜』論
反転するモラル―『大つごもり』論
お力伝説―『にごりえ』論
無限の闇―『十三夜』
すれ違う物語―『わかれ道』論
無意識の加害者たち―『たけくらべ』論
恋の狂気が意味するもの―『裏紫』を読む
一葉文学における新たな飛躍―『われから』論
文机の空間―メディアとしての一葉日記
樋口一葉略年譜