出版社内容情報
お正月に年神を迎えるために飾るしめかざりは、地域や家によって様々です。宮城、福島、岐阜、愛媛、鹿児島……日本各地のしめかざりを巡った旅を一冊に! 文章・写真・ブックデザインまで著者が手掛けた、紀行エッセイです。カラー写真多数。
内容説明
土地によって異なる「しめかざり」の豊かな伝承に惹かれて歩くこと二十年。そこには、作る人、飾る人の大切な思いがありました。「体力も藁も無いし、作るのは今年で最後かな」そんな言葉を聞くことが多くなった令和の時代に、あらためて、わたしたちの「正月」をみつめます。宮城、福島、岐阜、岡山、愛媛、鹿児島…。日本各地の「しめかざり」をてくてく訪ね歩く旅のエッセイ。
目次
第1章 しめかざり探訪記(愛媛県松山市 プレ探訪 記憶の中のしめかざり;鹿児島県鹿児島市 二〇〇三年十二月二十九日 「ナンゲンノガホシイノ?」;山口県山口市 二〇〇二年十二月三十日 一筋ナワではいかない?小郡の丸いしめかざり ほか)
第2章 農家の米と藁(宮城県伊具郡丸森町 二〇一七年から二〇二四年 荒川家の「門飾り」と農家の生活;福島県会津若松市 二〇一八年から二〇二四年 会津若松のふたつの「けんだい」)
第3章 未来の民具(年男;輪飾り)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あじ
17
私がしめかざりに興味を持ったのは伊勢神宮のお膝元、志摩地方を旅した時だった。正月でもない春先に、店先や一般家庭の玄関にしめかざりが鎮座していた。お伊勢さんを慕う想いに心打たれたのでした。本書は年末目掛け、取材旅行を敢行し続ける筆者のエッセイ。父親の聞き取りから始まり、販売所のおばぁちゃん、そして作り手へ。つてからつてと深掘りされていく伝統の存続と危機と。広島東城の回は特に胸が淀んだ。あの有名な書店「ウィー東城」がある所だ。“ぼったくり”を知り“商店”もと思ったら…その後をグーグルで知り憔悴している。良書2025/01/16
カエル子
5
北海道で生まれ育ったわたしには、しめかざりに橙やみかんを添えるというだけで想定外。柑橘類が木に実っているのを子どもの頃は見たこともなかったし、地産地消じゃないけれど、しめ縄ひとつにも地域性がたくさんあって興味深く読みました。札幌でも正月飾りをするけれど、どんなモノだったのかは正直まったく思い出せない。旦那の実家の山口のこともこの正月に行ってきたのに欠片も浮かんでこない。『観察力を高める』からの流れもあって、自らの観察力の拙さを呪いたくなった。祖父母から孫への伝承がなくなりそうなのも辛いですな……。2025/03/10
フフフ
1
森須磨子さんの新しいしめかざり本!やった!と大喜びで読む。わたし自身は米農家が多い田舎育ちで、中学生の頃体育館で近所の方指導のもと、めがねを作る恒例行事を毎年経験したり、森さんの過去の著書から日本各地で形が違うことを知り実家や近所のしめかざりをこっそり眺めたり、義母と自己流でねじったり編んだりして簡単に作ったりと、そこまで身近ではないがしめかざりが近くにある人生だ。なかなか他の土地のものを見ることができないのでこの探訪記は心踊った。色々難しい面があるがどうかできるだけ長く、各地でこの文化が続くことを願う。2025/02/04
ヒメヒメ
0
○2025/03/26
skr-shower
0
他地区図書館本。パラパラと。盆正月の飾りは狭い地域の中でも色々。氏子になっている神社が松を嫌うので子供の頃は大きな枝ぶりの榊を門に縛り付けていたが、いつしか印刷された紙になった。神棚も五尺、荒神様に家業の神様に仕事場に仏壇に井戸にお墓に車庫に車に勉強部屋にetc.…親たちはいくつ位用意していたのだろう?2025/02/03