内容説明
「エイリアン」は植物か?「物体X」の常軌を逸した形態形成能。宇宙単細胞生物の「適応度の谷」。火星人が軟体動物である理由。宇宙人はなぜ裸で登場するのか?…地球外生物の謎に進化発生学者が挑む!?
目次
はじめに―地球外生物を考える
第1章 「ギーガー種」の進化と逸脱―映画『エイリアン』の生物学的事情(エイリアンの生物学;「エイリアン世界」とその変貌;エイリアンの生活史と社会性 ほか)
第2章 超系宇宙生物群―地球外来種とその生存戦略(ナメゴンと火星人“火星には軟体動物が似合う”;ボスタング“軟骨魚類との類似と差異”;バルンガ“恒星を喰う胞胚” ほか)
第3章 地球外文明論―映画の中の異星生命(物体X“常軌を逸した形態形成能”;岩石生物“もう一つのヘッケルの夢”;宇宙の単細胞生物“「適応度の谷」の手前で” ほか)
あとがき―プラネタリウムとしての宇宙SF
著者等紹介
倉谷滋[クラタニシゲル]
1958年、大阪府出身。京都大学大学院博士課程修了、理学博士。米国ジョージア大学、ベイラー医科大学への留学の後、熊本大学医学助教授、岡山大学理学部教授を経て、現在、理化学研究所主任研究員。主な研究テーマは、「脊椎動物頭部の起源と進化」、「カメの甲をもたらした発生プログラムの進化」、「脊椎動物筋骨格系の進化」など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Koichiro Minematsu
48
「学」がついているんですよね。「学」が。感想や話し言葉では、ほぼほぼ使わないんですが、使わせてください。まだ60ページ位しか読んではいないので、感想とは言えませんが、「メッチャ面白い」理科と進化と、そして何より映画「エイリアン」「プレデター」好きな人。読んでください。「学」として真剣なところが面白い。2020/05/21
そふぃあ
24
「地球生物しか知らないのに、いかに異質な生命を作るか?」というクリエイターの苦労や、ときにやっつけ感も感じられて面白い。 エイリアンや怪獣の生態を通して、実在の生物についてフィードバック的に知ることもできる。 「欲しいものに変わる石」「落書きを実体化させるビーム」のようなありふれた舞台装置にしても、深掘りするとこういう解釈になるのか、、、とワクワクした。 架空の生物を扱う特性上、テクスト論や物語の系譜のような、本質的なことにも言及があり読み応えがあった。文学論×生態論。面白いです。手元に置いておきたい本。2021/04/10
gachin
6
ギーガーエイリアンの章は、纏まった文量だったこともあり、ゴジラ幻論の失踪博士のエッセイよろしくかなり進化生物学してて面白かった。というか所々勉強になった。ただ、本書の射程を逸脱することを承知で注文するなら、エイリアンの形態・生態デザインについて、進化上の生態学的・発生学的拘束と、フェミニズム的メッセージをステルス的に体現する(内田樹の「女は何を欲望するか」に詳しい)上での”当時の世相の発する選択圧”の間の、絡み合い・折り合いの付け方の話を読んでみたかった。いずれにせよ、本書は贅沢で楽しい知的・文化的遊戯。2019/12/15
ひびキング
5
真面目な内容なんだけど扱ってるのが宇宙人なんでそのギャップが楽しい。でも映画やテレビをこんな風にしか見れないのなら、それはそれで面白くないだろうな。エイリアンの気品は理解できる気がするし、ソラリスの解釈がストンと落ちてきた。これは良い本。2020/04/10
渡邊利道
4
映画やドラマに登場するエイリアン(異星生物)を進化論の知見で真面目に分析した本。SF愛と生物愛に溢れた良い本。ともかく第一章の『エイリアン』の分析が大変面白かった。2020/02/27