内容説明
一七世紀、新・旧教諸国間の抗争が絶えないヨーロッパに突如とどろきわたった「薔薇十字宣言」。それは「魔術とカバラと錬金術」を原動力に、独自のユートピアに基づく新時代の幕開けを告げていた。その背後に潜むのは知識の秘密結社、薔薇十字友愛団。彼らの「見えない革命」は、ルネサンスと科学革命の時代をつなぐ、隠されたヨーロッパ精神史を形づくる…。
目次
王家の婚礼―王女エリザベスとファルツ選帝侯の結婚
ボヘミアの悲劇―ファルツ選帝侯フリードリヒ五世の凋落
薔薇十字運動の潮流―ジョン・ディーからボヘミアの悲劇へ
ふたつの薔薇十字宣言―『名声』と『告白』
第三の薔薇十字文書―『C・ローゼンクロイツの化学の結婚』
薔薇十字哲学の代弁者たち―ロバート・フラッドとミハエル・マイヤー
ドイツの薔薇十字騒動―その隆盛と終焉
フランスを襲った薔薇十字恐慌―流言と論争
イギリスでの薔薇十字展開―フランシス・ベーコンとその著作
イタリアの自由主義者と薔薇十字宣言―パオロ・サルピからトマソ・カンパネラへ
アンドレーエの薔薇十字解釈―キリスト教協会の結成とユートピア都市構想
コメニウスとボヘミア薔薇十字騒動―『世界の迷宮』に描かれた顛末
目に見えない学院から英国学士院へ―薔薇十字運動の新たな展開
薔薇十字的錬金術へのアプローチ―アシュモールとニュートン
薔薇十字主義とフリーメーソン―秘教的ルネサンスの遺産
薔薇十字啓蒙運動―歴史から消えた一時代
著者等紹介
イエイツ,フランセス・A.[イエイツ,フランセスA.] [Yates,Frances Amelia]
1899年、イギリスのポーツマスに生まれる。ロンドン大学で学び、1944年からは同大学付属ワールブルク研究所の一員として、イタリア、フランス、イギリスのルネサンス、ならびにジョルダーノ・ブルーノ研究に従事。ルネサンスのネオプラトン主義に底流するヘルメス=カバラ的伝統に注目し、図像学的方法を駆使して、「魔術とカバラと錬金術」を視座としたルネサンス精神史の新しい展望を拓く。1967年以降、ワールブルク研究所名誉研究員、英国学士院会員。1977年、ルネサンス研究の貢献により、大英帝国二等勲爵士を授与され、「デイム」の称号を得る。1981年逝去
山下知夫[ヤマシタトモオ]
1951年、東京生まれ。1969年麻布高校卒業後、三年間にわたりパリ大学に留学、フランス近代文学を専攻する。シュルレアリスム、特にアンドレ・ブルトン研究を通して、オカルト哲学を含むルネサンス思想に傾倒、当時の美術や著作に興味を持つ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ステビア
roughfractus02
∃.狂茶党