出版社内容情報
中世から近世への転換期、惑星軌道の数や大きさを科学的手法で追究したケプラーには、ピュタゴラス、プラトン以来の数秘的幾何学精神が脈打っていた。古典的名著をラテン語より邦訳。
宇宙とは何か? 創造性の原理と理法とは? 高貴な数、高貴な形状とは?
「近代天文学の祖」と呼ばれるケプラーの発心の動機は形状学的問いにこそあった。
ピュタゴラス、プラトン以来神秘主義のベールに秘されていた五つの正立体が、
コペルニクスを経由して、新たなコスモロジーを描きだす。
中世と近代、神秘と合理、芸術的創造力と科学的創造力の未分の動態が、ここに躍動する。
■目次より
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Galilei
5
ガリレオは、音楽家だった父のヴィンセンチオ著『古代と現代の音楽について』を模した題名の『天文対話』を出版して、第二次宗教裁判の獄を科せられた。一方のケプラー、幾何学と音階を融合した理論が、本書の主題と言えます。そのケプラーは、母が讒言によって魔女狩りで捕らえられて、身の潔白に奔走した。近世への過渡期、二人の偉大な科学者は、身に降りかかった災厄を乗り越えて、当時高貴だった音楽を題材としたのですが、本編の積上げた長大な理論の異才と、その思考回路を辿ってみました。
kinaba
1
☆ 面白いなあ。これだけ読むとピタゴラスかぶれで中世的な間違った方向へ突き進んでしまった疑似科学青年なのだけど、精密な観測データで計算し直せばこの霊感を正当化できると信じ進んだ結果がケプラーの3法則という現代にまで至る科学的成果に繋がったわけで。第3法則など、たしかに数秘術的側面からも魅力だなという繋がりもなんとなく感じ取れる。面白い2016/01/24