内容説明
18世紀の植民地の暗く苛烈な文化交流史において、著者はオウコチョウのようなつつましい植物に焦点を当てる。現地の人びとから植物の知識を熱心に吸収したヨーロッパ人は、奴隷の女たちが主人を欺くために使っていた中絶薬についての知識を、あえて無視した。ヨーロッパはまさに重商主義のもと、人口増加を奨励している時代だった。植物探査のはらむ深刻なモラル問題に光を当てる。アメリカ歴史学会大西洋世界史賞、フランス植民地歴史学会Heggoy賞、アメリカ医学誌協会薬学史Ester賞―受賞。
目次
第1章 出航(旅する植物学者―ハンス・スローン;マリア・シビラ・メリアン ほか)
第2章 植物探査(西インド諸島における薬探査;植物探査の接触地帯 ほか)
第3章 エキゾチックな中絶薬(メリアンのオウコチョウ;ヨーロッパにおける中絶 ほか)
第4章 ヨーロッパにおけるオウコチョウの運命(動物実験(治験)
自らを実験台に ほか)
第5章 命名に発揮された帝国主義(自然界の命名と帝国―カール・リンネ;名づけることの困難 ほか)
結論 アグノトロジー
著者等紹介
シービンガー,ロンダ[シービンガー,ロンダ][Schiebinger,Londa]
長らくペンシルヴェニア州立大学歴史学教授を務めたあと、2004年よりスタンフォード大学科学史教授および同大学「女性とジェンダー」研究所所長。近世から現代にいたる科学とジェンダーのテーマを先鋭的に追究し、『植物と帝国』の大半は、女性歴史家として初めてアレクサンダー・フォン・フルボルト研究賞を受賞し、ドイツのマックス・プランク科学史研究所に滞在中に執筆する
小川眞里子[オガワマリコ]
東京大学大学院理学研究科科学史科学基礎論修士課程修了。同大学院人文科学研究科比較文学比較文化博士課程中退。三重大学教授
弓削尚子[ユゲナオコ]
お茶の水女子大学人間文化研究科博士課程単位取得退学、博士(人文科学)。専攻、ドイツ史、ジェンダー史。早稲田大学法学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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