自然とギリシャ人―原子論をめぐる古代と現代の対話

シュレーディンガー，エルヴィン【著】〈Ｓｃｈｒ¨ｏｄｉｎｇｅｒ，Ｅｒｗｉｎ〉/河辺 六男【訳】

工作舎（1991/11発売）

• サイズ B6判／ページ数 179p／高さ 20X14cm
• 商品コード 9784875021896
• NDC分類 131.1
• Cコード C1040

出版社内容情報

■エルヴィン・シュレーディンガー

内容説明

原子の究極の姿をめぐって、素粒子物理学が混迷の時代を迎えていた１９４８年、シュレーディンガーは、ロンドン大学で講演を行なった。「現代物理学の誤りは、ギリシャ哲学の時代にすでに始まっていた―」パルメニデスが想定し、ピュタゴラスが数学的に発展させ、ミレトス学派が深化させ、ヘラクレイトスが喝破した「理性的・客観的世界像」。それがやがて、デモクリトスの「アトム」へと結実し、ガッサンディ、デカルトを経て、現代の素粒子物理学にまで脈々と受け継がれてきたのだ。科学者・シュレーディンガーが、「感覚」対「理性」、「科学」対「宗教」、「私」対「客観的世界」の哲学的問題に挑んだ、２０世紀の名篇。本邦初訳。

目次

第１章　古代の思想にたちもどる動機
第２章　理性と感覚の競合
第３章　ピュタゴラスの徒
第４章　イオニアの啓蒙
第５章　クセノファネスの神・エペソスのヘラクレイトス
第６章　原子論者たち
第７章　科学的世界像の特性

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[アドソ]

猫の思考実験で有名なシュレーディンガー。この人の本は４冊目くらいだけど、一番難しかったと思う。量子力学の泰斗として名を馳せながら晩年は物理学の亜流に甘んじ、「科学とはつまり何であるのか」をひたすらに追い求めていった感がある。この世界を形作っている物質群と、それを観察する精神との完全な隔離に基づく世界観。近代科学を究めた超人は古代ギリシャの哲人に肩を並べたように思えるが、凡人の私には到底理解が追いつかない。

2018/01/22

[TY]

「イオニアの啓蒙」の環境 ①大国に帰属していなかった ②イオニア人は東洋と西洋を取り持った航海民族であった ③祭司支配を受けなかった 　万物は水である、空気であるなどど説いたのは思想史上、大事件。この世界は合理的に理解しうるものである、神々や霊魂や政令たちの舞台ではないとしたため。迷信からの解放。 　デモクリトスの原子論を頓挫させたのは魂にまで原子論を広げたためではないか。

2012/04/15

[Wataru Sano]

続いて同じく、Eシュレーディンガー。