感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
evifrei
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太陽神を崇拝する地域では太陽が沈み、そして登る場所として根付いている様だが、日本では殆ど置き去りにされている概念である「地下他界」。そこは死後の魂の行き着く場所であると同時に、大地の神々が湧出した場所でもある。大地の神々のルーツを鬱蒼とした蒼い神々に求める本書の指摘は詩的なフォークロアを感じた。特にマレビトと異境地下他界について論じた5章が面白く、ニライ・カナイを地下に求める説も興味深い。日本のアニミズムは何処か明るい印象があったが、また異なる視野が開けた。死霊の場所から黄金郷・生を辿るのは面白い発想だ。2020/10/03