出版社内容情報
究極の人権侵害である「慰安婦」問題を子どもたちにどう教えるか。大阪の公立中学校の教師が積み重ねてきた20年にわたる実践記録。
内容説明
韓国・沖縄の人びとから受け取った平和への思いを教室の子どもたちとともに考える。大阪の公立中学校の教師が積み重ねてきた20年にわたる実践記録。
目次
「慰安婦」問題を教えることは危険?
「慰安婦」問題を教えた最初の授業
「沖縄」と出合った子どもたち
ハルモニとの約束
先生、「慰安婦」の授業まだ?
真の「和解」とは何か―考え始めた中学生
怯まずに「慰安婦」問題を教えよう
資料編
著者等紹介
平井美津子[ヒライミツコ]
1960年、大阪市に生まれる。立命館大学文学部卒業後、大阪府公立中学校の教師に。歴史教育者協議会会員、子どもと教科書大阪ネット21事務局長、立命館大学非常勤講師。専門研究は、アジア太平洋戦争下における日本軍「慰安婦」、沖縄戦研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スイ
6
筆者は慰安婦、沖縄のことを生徒に教えて来た社会科教師。 練られた授業からはもちろん、圧力や脅しに屈しない筆者の姿からも生徒達は多くを学ぶことだろう。 しかしこんな授業を受けられる学校が今どれだけあるのか。 抗う、という言葉が突き刺さる。 私も抗おう。 巻末には河野談話等も掲載しており、本編と合わせて慰安婦、沖縄のことを学ぶにもとても良い一冊。2019/02/26
すがの
3
教育科学研究会編『教育』2018年2月号に書評あり。そこから知って、読んだ。性暴力を「戦争のエピソードではなく、戦争の本質なのだ」(6頁)とする、中学社会科教員である筆者の、授業実践と生徒たち(と)の学びの記録。その気概に賛意を送るとともに、このような本が出版されることに希望を覚える。広く読まれることを願う。/しかしまあ、このような実践に対する「圧力」は縷々本書の中で述べられているが、問題は根深いといわねばなるまい。2018/03/11
かじやん0514
3
子どもの歴史認識・社会認識の発達を教師としてどう保証するか。管理職、政治、在特会などと抗い、歴史教育者として毅然とした態度をとってきた姿に感銘を受けた。2018/01/03
tellme0112
2
「教育と愛国」の映画から。2022/07/31
越部社長
2
根拠も検証もない権威主義的な発言の繰り返しと、ネット社会の匿名性を利用した暴力的な圧力で、あったことをなかったこと、なかったことをあったことにしようとする歴史修正主義に立ち向かう社会科教師である筆者が、中学生に対して慰安婦問題をはじめとする戦争と性暴力についてどのように教えてきたかが記録されている。本文で紹介されている生徒達の感想は多様でありながら本質を突いていて、授業が決して教師の歴史観の一方的な押し付けではないことの証左となっている。教育勅語を暗唱するより100倍意味がある教育の姿であろう。2022/05/29