内容説明
琉球はかつて、独自にアメリカやフランス、オランダと修好条約を結んだ。独立国だったからだ。沖縄が自己決定権の確立をめざす歴史的根拠を検証し、識者の意見をもとに、「自立」への展望をさぐる!
目次
1 琉球の「開国」(ペリー来航と琉球;列強各国・中国・日本と琉球)
2 琉球王国―「処分」と「抵抗」(「処分」の起源とその過程;手段を尽くしての抵抗・救国運動;「処分」をめぐって)
3 沖縄「自己決定権」確立への道(国際法から見る「琉球処分」;「琉球処分」をどう見るか―識者に聞く;データで見る沖縄経済;経済的自立は可能か―識者に聞く)
4 自己決定権確立へ向かう世界の潮流(スコットランド独立住民投票を見る;非核、非武装の独立国・パラオ;沖縄を問い続ける国連人種差別撤廃委員会)
5 「自治」実現への構想(涌き起こる住民運動;「自治州」から「独立」まで)
著者等紹介
新垣毅[アラカキツヨシ]
1971年、沖縄県那覇市に生まれる。琉球大学卒、法政大学大学院修士課程修了(社会学)。1998年、琉球新報社入社。中部支社報道部、沖縄県議会・政治担当、社会部遊軍キャップ、編集委員、社会部デスクなどをへて、2014年4月から文化部記者兼編集委員。2011年には、キャンペーン報道「沖縄から原発を問う」取材班キャップを務めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
冬佳彰
15
資料として読んでいた本。この最中に、某言論人(言論人などとは、俺は1ミリも考えていないが)の馬鹿げた行動が出回っている。沖縄の現状を検討するのにウィーン条約法条約51条にまで遡る知的体力を尊敬する。て言うか、米国のハワイ王国への謝罪も、これを根拠にしている。「それ、俺らに関係ない」と言う日本のほうが、国際的にガラパゴスなんだろう。表面的にせよ。すべては歴史の積み重ねと法の上にある。それを知るのに大変良い本だが、まあ「俺は俺の信じるものしか信じないぜー」という向きは、どうせ読まないな、という諦めもあるなあ。2022/10/07
Yasuhisa Ogura
2
幕末から明治初期にかけて、琉球が日本に編入される過程を解説したもの。現在の沖縄問題とどのように関連づけるかは別として、かつて琉球は独立国として、アメリカ、フランス、オランダと修好条約を締結していたという指摘は重要である。また、琉球を支配していた島津家は、パリ万博に琉球国王として参加していた。さらに、日本へ編入後、明治政府は中国との摩擦を回避するため、石垣島などを中国へ割譲することも検討していたという。このような指摘がなされていることを知るだけでも、現在の沖縄問題に対する見方は異なってくるだろう。2016/08/16
トラッキー
2
沖縄に赴任した同僚から、向こう(沖縄)とこちら(本土)では常識が全く異なることに驚いたが、世界の常識はどちらかといえば沖縄の常識に近いのではないかと思い始めたと聞いた。日本人は皆、日韓併合は歴史で習って知っているが、沖縄も1879年に「併合」された事実を知らない。数百名の武装警官と兵士で首里城を取り囲み、尚泰王に「沖縄県設置」を通達、強制的に合意させ、幕府に先立ってペリー総督と結んでいた琉米修好通商条約原本を「接収」した。不幸な歴史を乗越えて戦後日本復帰を望んだ沖縄の人たちを本土の日本人はどう遇したか。2015/09/05
まっちゃん
1
沖縄のこれから進むべき方向性について考えさせられる内容でした。とても良い本です。2015/07/11
健康平和研究所
0
沖縄は併合された 韓国が併合されたように 146頁→日本の最大の問題は、米国との2国間同盟に特化した、あまりにも偏った安全保障のくびきから解放されていないことだ。その最も大きなしわ寄せを沖縄に負わせている。事実上、軍事的植民地のような状況だ。日米の軍事同盟の性格を弱め、平和的関係へ徐々に移っていく必要がある。 中国が中心になり、6カ国協議が前に進めば、東北アジアのきな臭い関係は少しは和らぐだろう。(続く)2017/08/17