内容説明
沖縄戦の惨禍から九死に一生を得た著者が、沖縄を再び戦場にしてはならないと、強い思いで鳴らす警鐘!
目次
1章 戦争への道のり(沖縄の軍事化の背景;皇民化教育の推進と徴兵令の施行 ほか)
2章 戦時体制への移行(文化施設の軍事目的化;国策への県民の対応 ほか)
3章 沖縄戦の経過(沖縄守備軍の作戦準備;米軍の上陸作戦と沖縄決戦の実際 ほか)
4章 沖縄決戦下の住民(沖縄戦における米軍政要員と一般住民;行政当局の対住民施策 ほか)
5章 沖縄戦の教訓(軍隊とは…;指導者は民衆の信頼を裏切る ほか)
著者等紹介
大田昌秀[オオタマサヒデ]
1925年、沖縄県久米島に生まれる。1945年、沖縄師範学校在学中に鉄血勤皇師範隊の一員として沖縄戦に参加、戦後、早稲田大学を卒業後、米国シラキュース大学大学院でジャーナリズムを学ぶ。修了後、琉球大学社会学部で研究・指導を続ける。1990年、沖縄県知事に就任、2期8年務め、「平和の礎」や「新沖縄県立平和祈念資料館」「沖縄県公文書館」などをつくった。2001年、参議院議員(1期6年)。知事退任後、大田平和総合研究所をつくり平和研究を続ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
20
リーブラ教授の非武の文化と威武の文化(16頁~)。前者は長年軍隊が存在しなかったこと。後者は本土の文化。河上肇の舌禍事件と沖縄言論人(41頁~)。1911年4月の講演「新時代来る」において、沖縄県下の指導者や新聞人に衝撃で、2週間滞在より早目に切り上げた。富国強兵を吟味し、皇民化を検証していたら沖縄戦の惨禍も避けられたかもしれぬという(42頁~)。’40年1月柳宗悦ら日本民芸協会一行も訪れ、地方方言禁止は行き過ぎとし、沖縄文化の価値の高さを訴えた(46頁)。標準語と方言の共存が望ましいのだ、と。2015/01/02
belier
3
沖縄戦の概要を沖縄の歴史から書き起こして説明。エピソード的にひどい話は読んだり聞いたりしてきたものの、まとまったものを読むのは初めて。整理された記述で、経過がよく理解できた。沖縄守備軍幹部らは自刃したが、岡本太郎のコメントを紹介。「旧日本軍隊の救い難い愚劣さ、非人間性、その恥と屈辱がここにコンデンスされている」。沖縄の住民は植民地の原住民扱いで、方言を話せばスパイとされた。それでも、日本人として国に懸命に尽くし、柔順という評価もあったが生命の尊重はされず、却って軍人の無謀な作戦の道連れにされたのだった。2022/09/04
aoi
2
沖縄は、半独立国・琉球として貿易で国が成り立っていたこと。平和なこと歌と踊りが人々の中にあり、争いがあったとしても、殺すや死なすなんて言葉がなかったらしい。 そんな武器を持つこともなく話し合いや妥協案、折衷案で琉球は乗り越えてきている。 諸外国&日本は、武器を持たないことが知識がない、野蛮などという評価する。琉球の歴史を世界的にもっとも平和な民族の集団だと思う。 中國との朝貢貿易、薩摩の支配、日本から蔑視、米国の占領、長い歴史で圧政に慣れてきているのかもしれないと思える。2017/08/23
えんさん(연싼)@読書メーター
1
太平洋戦争(大東亜戦争)で唯一の地上戦となった沖縄戦について、戦前の沖縄に対する皇民化教育と、「日本」から見た沖縄への評価から問いかける1冊だった。この戦争からわかることは、軍は民間人を守るために存在せず、一部の利益のために戦う存在だと分かる。2014/08/30
ジャンルバルクイネー
0
元沖縄県知事の作家により書かれた沖縄戦。戦前からの差別が被害を大きくしていたことに影響していたことは悲しい。そして、一般住民は食料や住居を戦闘員に剥奪されたにも関わらずスパイ容疑で殺されていたとは。あまりにも酷い現実です。戦争は二度と起こしてはならないと強く思った。2021/08/25