内容説明
2分の1の確率で親から子へ遺伝する神経難病FAP。根治療法がなく、死を免れることのない闘病生活は悲惨をきわめ、その家族が激しい差別と偏見にさらされていた時代、あるひとりの女性が立ち上がった。本書は死と向き合うFAP患者と、彼らが生を全うするために全身全霊を捧げた女性の壮絶なたたかいの記録である。
目次
1 献身―志多田正子のたたかい(志多田正子とFAPの出会い;患者たちの叫び;病気の解明、治療法を求めて;患者会の発足)
2 波紋―「臓器移植」がもたらしたのは…(肝臓移植の登場;海外移植第一号;その後の海外移植;病と向き合う―星下一家の場合;揺れる患者会)
3 葛藤―広がる生体肝移植(広がる生体肝移植;生体肝移植が抱える複雑な問題;二分の一の確率―問われる「親の生き方」;母が遺したもの)
著者等紹介
大久保真紀[オオクボマキ]
朝日新聞編集委員。1963年福岡県生まれ。国際基督教大学卒業。87年朝日新聞社に入社。盛岡、静岡両支局を経て、東京本社社会部、くらし編集部、西部本社社会部などに在籍。2002年4月から編集委員になり、06年4月から約2年間、鹿児島総局次長を務めた後、現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
40
遺伝性神経難病FAP(家族性アミロイドポリニューロパシー)の患者たちとそれを支える志多田正子の活動を記したルポ。FAPは、30歳前後で発症し、発症後10~15年で死に至ることが多い。肝臓移植という対症療法はあっても、根治療法がない。親をFAPで亡くし、いつ自分が発症するかもしれないという不安、また自分の子どもに遺伝するかもしれないという恐怖を抱え生きる姿が、患者の生の言葉や手記から立ち上がってくる。家族性=遺伝する病、海外へ臓器移植渡航、日本での生体肝移植等、当事者・家族が抱える問題はとても重い。2014/12/05
まみか(再登録)
10
ほぼ三年ほどかけて読んでました。『家族性アミロイドポリニューロパシー』。二分の一の確率で子供に遺伝してゆく病。この本の発刊は5年前だけれど。まだまだ、根絶なんてしてないんだと思うと胸が痛い。2019/05/04
ケニオミ
8
実家近くを走る鹿児島本線。上りは門司港行、下りは荒尾行が多かったと記憶しています。その荒尾で風土病とも呼ばれていた遺伝子病の話です。電車に乗ればすぐ到着する場所で、鎌で刈られるように人々がバタバタと亡くなっている病気があるなんて知りませんでした。ボランティアとして奔走している人の苦悩。身内が亡くなり、次は自分の番ではと戦々恐々とする人の苦悩。身内を助けるため、半ば強制となっているような生体肝移植のドーナーの苦悩等。一つの病気で何種類もの苦悩があることに唖然としました。読み応えのある本です。お薦めします。2014/07/25
まみか
5
一つ前の感想が年4ヶ月前の自分のものと知って。もっと沢山の方の目に触れるといいな。2020/09/11
takao
4
ふむ2024/04/29
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