内容説明
「戦力」保持を禁じる憲法9条をもつ日本に、米軍駐留は許されない。だが、日本に軍事基地を確保したいアメリカは、9条の「新解釈」を日本政府に教え込む―。米公文書館に通うこと7年、今に続く対米従属の源流をここに突き止める。
目次
1 「米軍駐留」合憲化への工作(最高裁判決の陰に長官とアメリカ大使の密談;アメリカが生み出した「九条解釈」;もう一人の最高裁判長官が演じた役割)
2 米軍の法規無視をなぜやめさせられないか(アメリカでやっていることを日本で出来ないのは;七〇年代から強まる米軍の治外法権的特権;地位協定第五条の過去と現在)
3 アメリカは裁判権放棄の密約をやめない(女性をおびき寄せ射殺したジラード事件;電車に発砲し乗客を殺したロングプリ事件;裁判権放棄の密約は生きている)
4 日本からの「米軍出撃」と「核持込み」の密約(「事前協議」を空洞化する密約;「出撃」を「移動」と言い換える密約;核持ち込み密約は証明済み)
5 吉田・アチソン交換公文の密約(「極東」での「国連軍」支援を約束;交換公文はいかに作られたか;安保改訂時の交換公文でまた新たな密約)
著者等紹介
末浪靖司[スエナミヤスシ]
1939年生まれ。ジャーナリスト。元赤旗論説委員(安保外交担当)。現在、日本ジャーナリスト会議会員、日本友好協会常任理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hiroki Nishizumi
1
安保条約、日米地位協定は日本国憲法に優越する。この愕然とする事実。そして日本国内において米軍の治外法権を認める司法、行政。なぜ悪魔に魂を売ったのか、、、目先の利益が正しいと信じたてあろう先達は何故、と悲しくなる。2013/10/09
nazukenta
0
なぜ、改憲にこだわるかがわかる。アメリカは日本国憲法ができた直後から改憲を熱烈に所望していたのではないか。ここに紹介されているアメリカの電文の多くは日本国憲法との戦いだ。戦後70年を経て王手を打ってきている。絶対に改憲させてはいけないと強く思った。戦後さまざまに最悪なことが起こったが、国民は憲法の守られていた。あの憲法がなかったら、たとえは悪いが今のシリアのようになってしまって、まさしく属国で国の形がなくなっていたかもしれない。それにしても田中耕太郎は売国奴だ。 2016/11/04
Koji Suzuki
0
いわゆる「トンデモ本」ではなく、裁判所や米国公文書館に資料請求して手に入る日米の外交書簡等を丹念に読み込んで分析した貴重な研究書。自民党が裏取引を積み重ね、日本の安全を守ってきたことは評価できる。しかし「この条約が10年間効力を存続した後は、いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意志を通告することができる」(日米安保条約第10条)にもかかわらず厚木基地の夜間訓練を止められないのも、未だに米国の戦争に協力せざるを得ないのも、こうした事象の結果であることが解る。2014/06/03
雨具
0
実費購入。チェックを入れつつ論文を書き上げるための材料使わせていただいた本。