内容説明
日本の敗戦により、「満州」に置き去りにされ、生きるために中国に残らざるを得なかった残留婦人・孤児たち。やっとの思いで祖国・日本に帰りついたが、そこに待っていたのは…。新聞記者として20年にわたり、「国家」に翻弄される人びとに寄り添い、苦難の人生を見つめる。
目次
1 「原告番号1番」池田澄江さんのたどった60年(「日本政府は本当に冷たい」;世界一尊敬している養母のこと;養父母に預けられた経緯 ほか)
2 「強行帰国」で国を動かした12人の残留婦人(「祖国で死なせて」;「強行帰国」のリーダー;国友忠さんとの出会い ほか)
3 政府の強制退去命令とたたかった井上さん家族の「きずな」(第二の家族離散;強制収容;二度目の強制収容 ほか)
著者等紹介
大久保真紀[オオクボマキ]
朝日新聞記者。1963年福岡県生まれ。国際基督教大学卒業。87年朝日新聞社に入社。盛岡、静岡支局を経て、東京本社社会部、くらし編集部、西部本社社会部などに在籍。2002年4月から編集委員を務め、06年4月から鹿児島総局次長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Mealla0v0
1
中国残留日本人についてほとんど知らないので勉強のために読んだが、なんという悲惨さたるや。国策で満州へ移民として渡ったものの、敗戦を機に日本国家に見捨てられた者達。日本語もできない者も多いというが、「祖国・日本」への帰国を目指す残留日本人。かれらは帰国を支援されず、帰って来てもバッシングを受けるさえする。おまけに強制退去の命令が下り、悲惨も悲惨。理解もなければ法的権利すらない。まるでホモ・サケル。どこに言ってもかれらは生きることは難しい。本当に根深い問題だと思う。2018/01/16
coconatsu
0
残留日本人を生んだのも、戦争を始めたのも全ては国なのに、私に想像もできないような壮絶な暮らしを経て母国に帰ってきた人たちに対して、国の対応はあまりにも冷たくて失礼。本来なら永住許可うんぬんの前に国が謝罪するべき人たちのはず。中国の農家で極寒の中食べ物も着るものも何もなくて、それでも家族に会うためだけに必死に生きて帰って来た人たちをただただ尊敬した。2014/09/09