出版社内容情報
医師や看護師 の仕事は、人間の生命を 預かり、守る、やりがいのある、誇りを
もてる仕事であるが、最近の医療界は 医療ミスが続出し、厳しい状況にある。
そのようなミスを犯さない、 実力のある医師になるには、どうしたらいいのか?
本書では、医学生が大学での6年間、それぞれの授業や実習に、どういう観点
から、どのように取り組んでいったら、医師としての実力をつけることができるの
か、さらには日々の学生生活をどのように過ごしたら、 医師としての素質を養う
ことができるのかが、わかりやすく説かれている。
本講座が医学生に向けて説く内容は、 論理的には看護学生にもそのままあて
はまるので、医師を看護師に、医療実践を看護実践におきかえて学ぶことがで
きる。
第29課 臨床医学教育の現状 (1) ――事実を概観する
(1) 『医学教育概論』 第三部では臨床医学の学びを説いていく
(2) 医師の診療能力の向上を主眼とした教育改革の頓挫
(3) 歴史的経緯をふまえて大学医学部の臨床医学教育の現状を概観する
(4) 2年間の一般教養の後、4年間の専門教育を行った1940―60年代
(5) 診療実習を大幅に導入し専門科目を統合・前倒しした1970―90年代
(6) 医学生の実践的訓練のための諸制度や教育・評価法が整備された
(7) 教育内容の精選と学生主体の学習への転換を図った2000年代
(8) 何のために・何を・誰に教えるのかを明確にしなければならない
研修医の学び ― Der Weg zur Wissenschaft 29 ―
第30課 臨床医学教育の現状 (2) ――問題の所在
(1) 実質8年と化した医学教育の5年余を占める臨床医学教育
(2) 医学教育改革によって実力のある医師が育つようになったのか
(3) 初期臨床研修制度の成果を実感できない研修指導者達
(4) 改革による臨床実習の形骸化を懸念する実習指導者達
(5) 大学で学んだ多くのことが現場では役に立たないと感じている研修医
(6) 医学教育には科学的医学体系と教育理論が必要である
(7) 学んだ知識を実践に役立つものにする訓練とは
(8) 臨床実習をどのように積めば医師としての実力がついていくのか
(9) 試験によって学生の学習を動機づけ・方向づける現代の医学教育
(10) 主体的な学びの姿勢を欠く現代の医学生
研修医の学び ― Der Weg zur Wissenschaft 30 ―
第31課 現代の医学教育改革の原点 「統合カリキュラム」 を問う
(1) 臨床医学教育に求められている三つの指針
(2) 現代の医学教育改革の原点的指針である 「統合カリキュラム」
(3) 問題解決能力養成を目的とした臓器や症候別のカリキュラム統合
(4) ドイツ式カリキュラムから米国式の問題基盤・自己主導型カリキュラムへ
(5) カリキュラム統合の背景1 ――膨大化した知識による医学教育の破綻
(6) カリキュラム統合の背景2 ――教育内容のスリム化のための再編の必要性
(7) 教科書を用いて統合による医学教育の質的変遷を検証する
研修医の学び ― Der Weg zur Wissenschaft 31 ―
第32課 科学的医学体系なしにはカリキュラムの統合はできない
(1) 医学教育現場を大きく変えた 「統合カリキュラム」
(2) 「統合カリキュラム」 では教育内容を整序できなかった
(3) 部分の学びに終始し人間の全体像に到達しない 「統合カリキュラム」
(4) 医学教育の致命的欠陥は科学的医学体系の欠落にある
(5) 科学的医学体系に基づく学びを 「呼吸器疾患」 を例に説く
(6) 科学的医学体系を基盤に医師としての考え方の基本を習得させる
(7) 基本から応用への上達の段階がない医学教育
研修医の学び ― Der Weg zur Wissenschaft 32 ―
第33課 「統合カリキュラム」 のもたらしたもの ――医学教育界の論理性の後退
(1) 科学的医学体系に基づく統合が医学教育の構造を変える
(2) 教科書から総論が削除された事実は文化遺産の論理化の後退を意味する
(3) 学ぶべき文化遺産を 「道具」 と称する教育観が教科書の論理性を後退させた
(4) 『新臨床内科学』 〔初版〕 の総論に見る思想性と論理性
(5) 素朴ながらも医療実践のあるべき姿を説いていた 『新臨床内科学』 〔初版〕 総論
(6) 論理化・理論化されていない経験的な直観では実践の指針になりえない
(7) 米国の経験至上主義が浸透し歪んでしまった診断論
(8) 学制改革・統合カリキュラムによって思想性・論理性を育む場が失われた
研修医の学び ― Der Weg zur Wissenschaft 33 ―
第34課 事実的進歩と論理性の後退の乖離がもたらす医療・教育現場の混乱
(1) 「統合カリキュラム」 の目的や理念が50年を経ても実現していない現実
(2) 教科書には医師としてのアタマをつくるための一貫した筋道が要求される
(3) 〝バランス説〟 で消化性潰瘍を説明した 『新臨床内科学』 〔初版〕
(4) 消化性潰瘍診療に関わる画期的な進歩 ――胃酸分泌抑制薬とピロリ菌の発見
(5) 消化性潰瘍を 〝バランス説〟 と 〝ピロリ感染症説〟 で説いた 〔第8版〕
(6) 消化性潰瘍を 〝ピロリ感染症説〟 で説くために矛盾する事実を削除した 〔第9版〕
研修医の学び ― Der Weg zur Wissenschaft 34 ―
第35課 病気の一般論を用いて消化性潰瘍の論理を導く
(1) 専門家を志す人間にとっての寮生活の意義
(2) 「統合カリキュラム」 がもたらした論理的実力の後退
(3) 消化性潰瘍診療に関わる事実的進歩と病気の把握の変遷
(4) 病気を把握するには事実に貫かれる論理を導きだす作業が必要である
(5) 消化性潰瘍の把握は 「バランス説」 から 「感染症説」 へと推移した
(6) 〝ピロリ感染症説〟 は消化性潰瘍の多くの事実を無視した単なる解釈である
(7) 消化性潰瘍の論理は病気の一般論から事実を見ていかなければ正しく導けない
(8) 事実を正しく把握し実践に活かすためには論理的実力の養成が必要である
研修医の学び ― Der Weg zur Wissenschaft 35 ―
目次
第29課 臨床医学教育の現状1―事実を概観する
第30課 臨床医学教育の現状2―問題の所在
第31課 現代の医学教育改革の原点「統合カリキュラム」を問う
第32課 科学的医学体系なしにはカリキュラムの統合はできない
第33課 「統合カリキュラム」のもたらしたもの―医学教育界の論理性の後退
第34課 事実的進歩と論理性の後退の乖離がもたらす医療・教育現場の混乱
第35課 病気の一般論を用いて消化性潰瘍の論理を導く
著者等紹介
瀬江千史[セゴウチフミ]
東北大学医学部卒業、医学博士。医学原論・概論研究会主幹
本田克也[ホンダカツヤ]
筑波大学大学院博士課程修了、医学博士。大阪大学医学部助教授を経て、筑波大学医学医療系法医学教授
小田康友[オダヤストモ]
佐賀医科大学卒業、医学博士。佐賀大学医学部准教授(医学教育部門)
菅野幸子[スガノユキコ]
東京大学大学院博士課程修了、学術博士。筑波大学大学院博士課程修了、医学博士。筑波大学医学医療系法医学助教(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
-
- 和書
- 国際堺学を学ぶ人のために