内容説明
時はバブルの真っ只中。しかし教会には建設資金がない。不思議なことに、そこに建築家は光明を見いだしていた。だが肝心の設計には未だ光明が訪れない…。ものづくりに賭ける人々が挑んだ苦難と感動を軽妙に描くノンフィクション。
目次
1章 依頼
2章 迷走
3章 閃光
4章 建築をつくる者
5章 眼下の敵
6章 暗雲
7章 理由
8章 コンクリート
9章 深層
10章 建築は続く
著者等紹介
平松剛[ヒラマツツヨシ]
1969年東京に生まれる。’92年早稲田大学理工学部建築学科卒業。’94年同大学院修士課程修了。’94~98年木村俊彦構造設計事務所勤務、現在フリー
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
193
第32回(2001年)大宅壮一ノンフィクション賞。 建築家 安藤忠雄の教会設計に取り組んだ プロジェクトの物語である。 光の教会 建築に携わった人々の苦闘を プロジェクトX 風に描く。 光の十字架と 作品に挿入された モノクロ写真が 記憶に残る…一建築の 誕生を 建築の内側にいる人が 描き出す、 珍しくも 貴重でもある、作品だった。2018/08/04
ヴェネツィア
158
茨木春日丘教会が出来上がるまでのドキュメンタリー。そのスリリングなことは小説以上と言ってもいいくらいだった。また、安藤忠雄の伝記を読むよりも(読んだことはないし、そもそもそういうものがあるのかどうかも定かではないが)ずっとこの希代の建築家のことがよくわかる。それと同時に計画から始まって、およそ建築物というものがどのようにして出来上がっていくのか、そしてそこに働く建築家安藤忠雄の求心力も切々と伝わってくる。素人目にも、通常はこうではないのだろうなという思いを抱くし、またそれゆえにこそ安藤は破格の天才なのだ。2014/08/18
コットン
82
通称「光の教会」(茨木春日丘教会)が出来るまでのノンフィクション。考え方は安藤忠雄が作った「サントリーミュージアム」の一枚のプレート(現場監督、大工、左官職人、工事に携わった人の名前が刻まれている)に表れている。安藤の言葉:『「俺が作った」という誇りを持てる人たちをいっぱい作らないと、建築をする人がいなくなりますよね。作った人間が誇りの持てないモノに対して、使う人間が誇りを持つのは、難しい。』2013/08/09
ケイ
63
大阪府茨木市のプロテスタントの教会。予算のないなかで、安藤忠雄は自分なりの宗教やミサのイメージを突き詰め、赤字覚悟で建築を請け負ってくれる業者を探した。建築を依頼した牧師より、妥協を知らない安藤の姿勢や、厳しい仕事を引き受けた竜巳建設の心意気がまぶしい。そして、光を取り入れる教会にガラスはいらないといい続け、夏は暑く冬は寒いものと主張する安藤の頑なさ。プロフェッショナルだなと思う。2014/03/07
さと
31
まさに「プロジェクトX 挑戦者たち」といったところ。建築に関する知識など全く持ち合わせない私だったが 教会堂が完成するまで楽しく共に携わらせてもらった。(実際に現場で携わった方々には申し訳ないが)安藤忠雄の感覚に委ねられた拘りに対しては私の理解を超えていたし実際に不満が噴出した部分もあったのだろうが、本来教会堂は何のためにあるのかを、信者の方々は知っていかれたのではないだろうか。そこまで安藤氏が意図していたかどうか…。2014/09/02
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