内容説明
本書は「江戸川区で聴いた」「中野ミツさんの越後語り」として纏める。ミツさんの内藏文化としての越後の昔話が、現住地・東京江戸川区で声の文化として聴き手を得、語りが開花する道を辿る。特徴としたのは「昔話を聴く・聴かせる」継承の意味深さであった。「語り手」と「聴き手」の関わり、人間関係、コミュニケーション文芸としての昔話・口承文芸の存在感を探る。集合体としての都市・江戸川区における新たな文化継承の試みを探る営み、今、此処の昔話継承、耳による現代語り構築の記録でもあった。
目次
1 「中野ミツさん」を聴く(出会い―尻尾の釣り;故郷葎谷の母子語り―木の又太郎と木の葉姫;旅から来る人びと―宗教者と物売り;町に行く村人―江戸稼ぎと伊勢参り)
2 「聴き耳の会」が聴く―ミツさんのふるさと語り(竜神様のお膳;おとわ池;小僧のむかし(小僧小僧えーかー)
猿地蔵
仕置きされた阿弥陀様 ほか)
著者等紹介
野村敬子[ノムラケイコ]
昭和13年、山形県真室川町生まれ。山形県立新庄南高等学校、國學院大學卒業。口承文芸学研究者。國學院大學栃木短期大学講師、日本口承文芸学会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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