内容説明
異端者か、救世主皇帝か、それとも学者?13世紀初頭、十字軍遠征が盛んなヨーロッパにイスラム文化を受容する皇帝が現れ、当時想像を絶した交渉によるイェルサレムの無血開城を実現する。また南アフリカに強大なシチリア王国を樹立し教皇庁と対立。教皇派は異端者・悪魔と攻撃し、皇帝派は救世主皇帝と崇め存亡をかけた戦いへと発展し、三度破門される。一方で学問や詩作に情熱を燃やし、自らも近代的な鳥類学書を執筆し、宮廷は文化の中心地となる。その活動は12世紀ルネサンスを14世紀ルネサンスへと引き渡す役割を担い、政治行動とともに後の西欧の文化や国家の形成に多大な影響を残した。しかし彼の死とともに王国も家系も消滅し、中世の終焉を早めた彼は、謎の多い人物とされてきたが、ここにその生涯の全貌を明らかにする。
目次
ドイツ・イタリアの政治状況
神聖ローマ帝国皇帝への道
シチリア王国平定
破門皇帝に率いられた十字軍
立憲専制君主国家の建設
息子の叛逆と二度目のドイツ遠征
文化の中心地としての宮廷―学者皇帝
教皇庁との最後の戦い
皇帝の最後
エピローグ―その後のシュタウフェン家