出版社内容情報
陶山幾朗と対談で語る「我が20世紀回想」―満洲に渡った“少年大陸浪人”がシベリア獄中11年を経て〈ジャパン〉で内村剛介となるまで。
1 見るべきほどのことは見つ
―いよよますます堕つる世紀よ、十九・二十・そして二十一と
2 ハルビンという存在
1 幻のハルビン/一枚のタイル/満洲│諸民族の幻
2 ハルビンのルバイ
3 わが師竹内仲夫
3 <カオ>と<顔>の間 ―A・シニャフスキー、その徒然草
4 「ツミとバツ」は日本製 ―ドストエフスキー翻訳にみる文化交錯
5 わが二十世紀回想 インタビュー(聞き手:陶山幾朗)
§1 紅い夕日にひかれて―少年大陸浪人満洲へ
§2 草の涯より湧く雲の―哈爾濱学院という空間
§3 明治日本グランドデザインの射程―「脱亜入欧」をめぐって
§4 スターリン、燦惨(サンザン)たる無―「内村剛介」の胚胎
補注 あとがき
シベリア獄中11年、あれは今にして思えばわたしの人生のもっとも充実した時間帯だったようです。大げさに言えば、平知盛ではありませんが、わたしもまた若く稚くして「見るべきほどのことは見つ」ということになったようです。その見るべきものとはわたしたちの20世紀の文明―なんといおうとそれはコムニズム文明であるほかなかった―そのわたしたちの文明の行きつくさきです。その向う側を見てしまったという思いがするのです(本文より)
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