内容説明
コミュニカティブ・アプローチの根底にある教育理念を批判的に考察し、ことばの教育とコミュニケーションについて考える。
目次
第1部 コミュニカティブ・アプローチ理論編(コミュニカティブ・アプローチをめぐって―ポスト・コミュニカティブ・アプローチがめざすもの;ポストメソッド時代の言語教育デザイン―応用言語学の視点と原理に基づく言語教育)
第2部 言語教育政策分析編(ことばの活動によるコミュニケーションとその教育の意味―欧州評議会における言語教育政策観の推移から;言語教育政策における「コミュニケーション」を考える)
第3部 言語教育実践編(第二言語学習者が教室で「わたし」を語るとき―日本で学ぶ大学院研究留学生の事例から;戦争の記憶を読む・語る―批判的メタコミュニケーション意識と意味の協働構築へ向けて;コミュニケーションの「デザイン者」をめざして―「デザイン」概念に根ざしたデジタル・ストーリーテリング実践;越境を支えるビジネス日本語教育―ポスト・コミュニカティブ・アプローチの就職支援)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Nobu A
4
購読本読了。古くは文法訳読法から始まった教授法。1980年以降、コミュ二カティブ・アプローチが一世を風靡したが、多様な学習遍歴や文化背景を持つ学習者が集まる教室に万能薬となる唯一の教授法は残念ながら存在しないという現在の考え方に至る。グローバル化の顕在化が更に増す昨今、言語教師はどう向き合っていくべきなのか。「コミュニケーション」とは何か。日本の移民政策の進展と相まって、日本語教育の方向性を考えさせられる。理論、言語政策、教育実践の3部構成。8本の秀逸な論文を収録。実践編に教育現場でのヒント多数。2019/06/29