日本語構文の意味と機能を探る

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  • サイズ A5判/ページ数 272p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784874246283
  • NDC分類 815.1
  • Cコード C3081

出版社内容情報

今までよく研究されながら未だ解決に至っていない5つの構文について、著者たちが取り組んできた機能的構文論の立場から考察する。その結果、構文研究を行う際、統語的要因だけでなく非統語的要因も考慮することの重要性を示した著。

本書は、これまで日本語文法において多くの考察がなされてきたにもかかわらず、まだ問題が残っていたり、解決に至っていない次の5つの構文の「謎」を解こうとしたものである。
第1章 「~てある」構文
第2章 存在文/所有文
第3章 数量詞遊離構文
第4章 壁塗り交替構文
第5章 「~させてくれる/させてもらう」構文
(中略)
以上、第1章から第5章までの考察を通して、私達は本書で、日本語の構文研究を行なう際に、構文の統語的要因だけでなく、その意味や機能、文脈や我々の語用論的知識など、非統語的要因も考慮することがいかに重要であるかを示したい。そして同時に、読者の方々は、本書を通読されて、これまでの構文研究が、限られた例に基づいて一般化を行なっており、より広範なデータを検討することや非統語的な要因にも配慮することの必要性を認識していただけることと思われる。(「はしがき」より)

第1章 「~てある」構文
1. はじめに
2. 「状態・位置変化制約」の検討
3. 「結果」の検討
4. 「Xが~てある」構文の意味的・機能的分析
5. 自動詞の「~てある」構文
6. 「Xを~てある」構文
7. 結び

第2章 「僕には妻子がいる」は存在文か、所有文か?―「いる」と「ある」の意味と構造―
1. はじめに
2. Kuno(1973), 柴谷(1978)の議論
3. 岸本(2002, 2005)の議論とその検討
4. 所有を表わす「ある」の意味的、機能的制約
5. まとめ

第3章 「数量詞遊離」再考
1. はじめに
2. Miyagawa(1989)とMiyagawa and Arikawa(2007)の分析
3. 2つの一般化に対する反例
4. 機能的説明
5. 結び

第4章 壁塗り交替構文
1. はじめに
2. 「ニ」格名詞句と「ヲ」格名詞句の意味の違い
3. 場所目的語構文の適格性
4. Iwata(2008)の分析とその問題点
5. 結び
補節:移動物目的語構文と場所目的語構文の関係―派生か基底生成か?

第5章 「~させてくれる/させてもらう」構文等の機能的分析
1. はじめに
2. 久野(1978)の視点に基づく分析
3. 他動詞文と使役文
4. 使役形にならない動詞
5. 「~させてくれる」構文の機能的分析
6. 「~させてもらう」構文の機能的分析
7. 「~させてくれる」構文の数値分析
8. 「~させてやる」構文と「~させてあげる」構文―その共通点
9. 「~させてやる」構文と「~させてあげる」構文―その相違点
10. 結び

参考文献
索引

【著者紹介】
高見 健一(たかみ・けんいち)
1990年に東京都立大学文学博士号を取得し、静岡大学、東京都立大学を経て、現在、学習院大学文学部教授。主な著作に Preposition Stranding(Mouton de Gruyter, 1992)、『機能的構文論による日英語比較』(くろしお出版、1995)、『日英語の機能的構文分析』(鳳書房、2001)などがある。

久野 すすむ(くの・すすむ)
1964年にハーバード大学言語学科Ph.D.を取得し、同学科で40年間教鞭をとる。現在、ハーバード大学名誉教授。主な著作に『日本文法研究』(大修館書店、1973)、『談話の文法』(大修館書店、1978)、『新日本文法研究』(大修館書店、1983)、Functional Syntax(University of Chicago Press, 1987)などがある。

なお、二人の共著による主な著作に Grammar and Discourse Principles(University of Chicago Press, 1993)、『日英語の自動詞構文』(研究社、2002)、Quantifier Scope(くろしお出版、2002)、『謎解きの英文法―冠詞と名詞―』(くろしお出版、2004)、Functional Constraints in Grammar(John Benjamins, 2004)、『謎解きの英文法―文の意味―』(くろしお出版、2005)、『日本語機能的構文研究』(大修館書店、2006)、『英語の構文とその意味』( 開拓社、2007)、『謎解きの英文法―否定―』(くろしお出版、2007)、『謎解きの英文法―単数か複数か―』(くろしお出版、2009)、『謎解きの英文法―省略と倒置―』(くろしお出版、2013)、『謎解きの英文法―時の表現―』(くろしお出版、2013)などがある。