出版社内容情報
「ている」に加え,これまで注視されてきたとはいえない「ていた」「ていない」を調査。会話及び,大学生が読むであろう新書テキストを詳細に分析し,それぞれの機能や用法に迫る。日本語学習者に必要な文法とは何かが見えてくる。
本書は「ている」についての調査結果を提示することによって、文法について考えていただきたいと提案するものです。
本書のテーマは「ている」ですが、これまで十分注視されてきたとはいえない「ていた」「ていない」もそれぞれの用法があるはずであるという考え方で調査・分析を行いました。また、アスペクトのテクストの中での機能という考え方をふまえ、学習者がすぐに使うであろう会話と大学生が読むであろう新書のテクストを使ってその中での「ている」「ていた」「ていない」の使われ方を検討しました。あまり使わないであろう項目ではなく、より学習者にとって必要な項目を学んでもらいたい、そして、それが何であるかを知るだけでなく、どのように使われているかを学んでもらいたい。そうすることが、コミュニケーションに役立つ文法になるのではないかと考えたためです。この小さい研究を多少でも日本語教育の現場に生かしていただけると幸いだと思います。 (まえがきより)
第1章 研究の概要
1 はじめに
2 先行研究
3 本書の目的
4 資料および調査方法
5 動詞の分類
6 「動詞+ている」の用法の分類
7 本書の構成
第2章 テクストの種類の違いとテンス
1 先行研究の問題点
2 調査の方法
3 調査結果
4 「る」「た」「ている」の用法
5 まとめ
第3章 効力持続について
1 先行研究
2 効力の存在について
3 記録の用法
4 結果状態と効力持続
5 まとめ
第4章 「ている」の用法
1 「ている」の分類の基準
2 会話・小説・新書における「ている」の使用状況
3 会話における「ている」の用法
4 新書における「ている」の用法
5 「ている」の新書での機能
6 会話と新書の「ている」
第5章 「ていた」の用法
1 問題の所在
2 「ていた」の先行研究
3 「ていた」の分類とその使用状況
4 動作継続の「ていた」と完了相「た」の使い分け
5 過去を「ていた」で表示するもの
6 「ていた」が表す過去の状態
7 発見の用法の成立条件
8 間接的な表現の「言っていた」
9 完了の「ていた」
10 まとめ
11 会話と新書における「ていた」
第6章 「ていない」の用法
1 「ていない」の先行研究
2 「ていない」の分類
3 「ていない」の使用状況概観
4 「ていない」の使われ方
5 まとめ
第7章 まとめ
1 科学的なテクストでのテンス
2 効力持続をどう捉えるか
3 「ている」の用法
4 「ていた」の用法
5 「ていない」の用法
6 課題とこれからの研究
7 日本語教育への提言
【著者紹介】
江田 すみれ(ごうだすみれ)
日本女子大学教授
1950年生まれ。1979年国際基督教大学大学院比較文化研究科博士課程前期修了。国際基督教大学教養学部助手、タイ国タマサート大学教養学部派遣講師(国際交流基金による派遣)、早稲田大学別科国際部非常勤講師、杏林大学外国語学部を経て、2004年4月より現職。
出版物に、「動詞『いく』『くる』の意味と用法について」『日本語教育論文集―小出詞子先生退職記念―』(凡人社 1997年)。『日本語教育』『台湾日本語學報』などに発表多数。
日本語文法項目用例文データベース『はごろも』の作成に関わる。
内容説明
日本語学習者にとって必要な知識とはなにか。「ている」に加え、これまで注視されてきたとは言えない「ていた」「ていない」を調査することにより、それぞれの機能・用法に迫る。会話及び大学生が読むであろう新書のテクストを分析し、それぞれの使われ方を検討した。
目次
第1章 研究の概要
第2章 テクストの種類の違いとテンス
第3章 効力持続について
第4章 「ている」の用法
第5章 「ていた」の用法
第6章 「ていない」の用法
第7章 まとめ
著者等紹介
江田すみれ[ゴウダスミレ]
日日女子大学教授。1950年生まれ。1979年国際基督教大学大学院比較文化研究科博士課程前期修了。国際基督教大学教養学部助手、タイ国タマサート大学教養学部派遣講師(国際交流基金による派遣)、早稲田大学別科国際部非常勤講師、杏林大学外国語学部を経て、2004年4月より現職。日本語文法項目用例文データベース『はごろも』の作成に関わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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