出版社内容情報
「明日の光を浴びる」この表現から前向きなイメージを頭に描くのはなぜか。日本語のメタファー表現を、認知メタファー理論の新しい枠組みである、身体性メタファー理論を使用して体系的に分類・分析し、そのメカニズムに迫る。
本書で研究対象とするメタファーとは具体的にどのようなものか。メタファーにはどのような機能があるのか。メタファーに関する専門的な議論をする前に,本章ではメタファーの用例やメタファー研究の流れを概観する。まず,1.1で,メタファーの用例を紹介し,メタファーを考える際に重要な点を用語として取り上げる。1.2では,メタファーの関連概念であるシミリ(明喩),メトニミー(換喩)とシネクドキ(提喩),さらにアナロジー(類推)を紹介し,メタファーとの相違を論じる。1.3では,ギリシャ時代からのメタファー研究の流れを概略的に紹介する。本書が依拠する認知言語学におけるメタファー理論(以下,認知メタファー理論)がこの流れの中にどのように位置づけられるかを1.4で検討する。1.5では,認知メタファー理論の流れにおける本書の位置づけを明らかにする。1.6で,本書の目的と構成を確認する。なお,認知言語学全般に関しては第2章,認知メタファー理論に関しては第3章で詳述し,本書の枠組みである身体性メタファー理論に関しては第4章で紹介する。
(第1章はじめに より)
第1章 はじめに
第2章 認知言語学
第3章 認知メタファー理論
第4章 身体性メタファー理論
第5章 イメージ・メタファー
第6章 水のメタファー
第7章 擬人のメタファー
第8章 線と移動のメタファー
第9章 因果のメタファー
第10章 現実のメタファー
第11章 可能性のメタファー
第12章 希望のメタファー
第13章 問題のメタファー
第14章 善悪のメタファー
第15章 評価性を基盤とするメタファー
第16章 関係のメタファー
第17章 ことわざのメタファー
第18章 結論
第19章 あとがき
【著者紹介】
鍋島弘治朗(なべしまこうじろう)
関西大学文学部教授 博士(文学).
1993年大阪大学言語文化研究科修士課程修了.1997年カリフォルニア大学バークレー校博士課程前期修了(フルブライト).2007年~2008年ジャン・ニコ研究所(IJN, フランス)客員研究員.
2009年日本人工知能学会 研究会優秀賞.日本認知言語学会理事.日本英語学会運営委員.
論文に「認知意味論―バークレー、ヨーロッパのメタファー研究を中心に」『英語青年』(2003).「メタファーと意味の構造性」『認知言語学論考No.2』 ひつじ書房(2003).ほか多数。
翻訳に『比喩によるモラルと政治』(ジョージ レイコフ著,共訳)木鐸社(1998).『認知言語学のための14章』(ジョン・R.テイラー著,共訳)紀伊國屋書店(2008).『ことばをつくる』(マイケル・トマセロ著,共訳)慶応大学出版会(2008).
感想・レビュー
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Nobu A
でろり~ん
れい