内容説明
筑後の戦国期は九州の覇権をめぐる大友、毛利、龍造寺、島津に翻弄され続けた―蒲池、田尻、三池、草野、黒木、星野、問註所、五条、西牟田、溝口、上妻など筑後の国人領主たちは、兄弟・一族が相争う凄惨な戦へと追い込まれていく。
目次
大友氏の筑後統治
龍造寺氏と蒲池氏
筑後勢討死
大友宗麟と毛利元就
篭城と柳川城
立花道雪と高橋紹運
耳川の戦と筑後勢
龍造寺隆信の筑後経略
島津北進、龍造寺敗る
大友軍の筑後出陣
秀吉の九州入り
著者等紹介
吉永正春[ヨシナガマサハル]
1925年、東京に生まれる。門司・旧制豊国商業学校卒業。現在、戦国史家として執筆、講演活動に活躍。2004年度福岡市文化賞、2009年度西日本文化賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はるわか
3
筑後十五城(蒲池氏、田原氏等)。大友氏、龍造寺氏、島津氏の勢力が激突した筑後国。出兵命令による他国での討死も多数。大友氏(義鎮宗麟など)の筑後支配(蒲池氏の分割)。門司合戦(毛利氏の大友領侵攻)。高橋鑑種、秋月種実ら豊前筑前勢の大友氏への謀反(休松の戦い、多々良浜の戦い)。戸次鑑連(立花道雪)、吉弘鎮理(高橋鎮種[紹運])ら大友氏による筑前支配。蒲池鑑盛の龍造寺氏(家兼、隆信)への温情。今山合戦(大友氏の佐嘉遠征の失敗、龍造寺氏の膨張)。振幅のはげしい宗麟(ついていけない家臣)と暴虐な隆信(離反する国人)2015/05/24
はるわか
2
一冊の本を読むことは物語をひとつ自分の中に取り込むことだと思った。信長の野望で遊んでた頃「九州にも武将がゴチャゴチャいるなあ」程度の認識だったが、筑後の歴史の本を一冊読んだだけでどんな時代だったかを感じることができた。本書は「理不尽に対して健気に立ち向かった筑後の武将達と、勢力の大きさに驕り他者に無理を強い最後に己を制御できず自滅する大友、龍造寺の領袖」の物語。勝った負けたに関係なく、フランクルの言う態度価値を物差しに歴史を見れば、誰が誠実に生き、誰が他者を踏み台にしたか歴史の別の見方が浮かんでくると思う2015/05/27
BIN
2
筑後の歴史を綴った作品。蒲池、田尻が中心であるが「筑前戦国史」と同様に休待、耳川、沖田畷等筑後とは別の合戦についてもページがさかれており、冗長のように感じた。それにしても龍造寺隆信は後半残忍で功績有る田尻に同族争いさせるとは。立花宗茂の柳川城入城後、関ヶ原くらいまでは書いてもらいたかった。2013/06/23