内容説明
抱腹絶倒の団地団トークイベントを完全収録&大幅加筆&名団地の渾身ロケ。類書なき、超脱線系団地エンタテインメント大・鼎・談。
目次
団地団、団地へ行く(狭山台団地;大蔵住宅 ほか)
第1章 地球人団地を侵略せよ(はじめに大友克洋『童夢』ありき;大友克洋と岡崎京子が描く高度成長期の記憶 ほか)
第2章 映画から見る団地の歴史(団地族=セックス・アンド・ザ・シティ『下町の太陽』;団地成金登場!『喜劇駅前団地』 ほか)
第3章 団地妻はいかに生まれしか(団地映画の転換点『団地妻 昼下りの情事』;2010年のリメイク版『団地妻 昼下がりの情事』 ほか)
第4章 団地と土地の記憶(母親の顔が描かれない理由;団地になる前の土地の歴史 ほか)
第5章 世界の団地から(団地都市ソウルが舞台の『ほえる犬は噛まない』;ゾンビと団地! ほか)
著者等紹介
大山顕[オオヤマケン]
1972年生。フォトグラファー、ライター。団地・工場・ジャンクションなどの撮影のほか、産業観光のコンサルテーションも行う
佐藤大[サトウダイ]
1969年生。脚本家、作詞家。主にアニメ・ゲームの企画開発・脚本執筆を手がける脚本家集団「ストーリーライダーズ」代表
速水健朗[ハヤミズケンロウ]
1973年生。フリーランス編集者、ライター。主な分野は、メディア論、書評、ショッピングモール、都市論、ビジネス系取材もの(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かっぱ
35
大山顕(団地マニア・写真家)、佐藤大(ストーリーライダーズ代表・脚本家)、速水健朗(編集者・ライター)の3人からなる団地団による県談集。狭山台団地で幼少期を過ごした佐藤大さん。他の2人もそうですが、団地愛が半端ではない。熱く、熱く、語られています。ウルトラマンでゴモラが登場する回に登場する多摩川住宅は建物はもちろん、給水塔や遊具がとてもいい。現地に行ってみたくなります。息抜き的に挟まれている「マンションポエム」のコーナーがおもしろかったです。2016/07/03
らぱん
32
字面でも読みでも巧いなと思った「団地団」は団地を偏愛している三人の鼎談集。映画だけでは無く、アニメーションやドラマ、マンガなどにも言及しており、各時代のまたは各国の政治や経済の事情なども語られ、創作活動の背景も俎上に載せられ論じられている。当然ながら、作品の評価のポイントが団地をどう映しこんでいるか、団地の捉え方、団地の意味などであり、団地目線での切り込み方は新しく面白かった。また、学識と情報に裏打ちされたように話されると妙な説得力があり、なるほどそうか団地かと納得してしまった。面白かった。↓2019/06/14
ころこ
29
「団地」ではそうでもないんですが、不思議と「団地団」という表意文字群が団地にみえます。高度成長の象徴である規格化された群れは資本主義的な大量生産品のようであって、人間関係が固定化され、無個性な住宅での共通化された生活のあり方は共産主義のようでもあります。現在では、多くは都市から遠く、設備が古く狭い。貧困の象徴のような鬱屈した空間として残存している。そんな現代との折り合いの悪さ、故郷喪失者の故郷のような居心地の悪さが何かを語らせます。2019/05/29
浅香山三郎
11
帯に「類書なき、超脱線系、団地エンタテインメント大・鼎・談」とある。大山さんの『団地の見究』や東浩紀さんとの『ショッピングモールから考える』が面白かつたので、読んでみたらやはり面白かつた。取り上げられてゐるアニメや映画をほぼ見ていない私が読んでも面白いのだから、見てる人が読めば何倍も面白いに違ひない。若林さんの言ひ方を借りれば、「団地への視線」をメディアで読むことを実践してゐる。『団地妻』のオリジナルと2010年版による表象のされ方の違ひ、「マンションポエム」、『白と黒』のモデル団地の話と、示唆に富む。2017/09/30
みのくま
8
ぼくは団地で人生の大半を過ごした。団地の友だちと何棟も駆けずり回って遊んだし、団地の祭りにも参加してた。違う区画に入るとそれは冒険になった。でも、やっぱり部屋は狭いし、走り回ると下の階の人に迷惑だからやめろと怒られる。母親たちの井戸端会議で自分の素行を話し合われているのを聞いた時は、すぐにでも逃げ出したかった。閉鎖的で窮屈で、ぼくはもう団地に戻る事はないだろう。でも本書を読んで、団地の奥深さを知る事ができた。とても人工的に合理的に作られている団地だけど、ちゃんと観察するとそこに「自然」が生成されていたのだ2019/06/09