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内容説明
テレビアニメの成熟と進化を印象づけた絢爛豪華な魔法少女絵巻を気鋭の評論家が最速鋭利に論じる!魔法少女たちは絶望無限の円庭で…真性神的動画『魔法少女まどか☆マギカ』オフィシャル評論。
目次
第1章 希望のない檻―さやかと杏子(希望と絶望;非人間的な秩序―Jホラーとの比較;魔法少女の生存条件―ホラーとしての『まどか☆マギカ』;「非人間的な秩序」とゾンビ)
第2章 希望の檻―まどかとほむら(くりえかす時間;インキュベーター;隠された物語;成熟という檻)
著者等紹介
山川賢一[ヤマカワケンイチ]
1977年愛知県生まれ。名古屋大学大学院文学部人文学科フランス文学専攻修了後、会社員、予備校講師を経て文筆活動に移る。執筆作…「フィジカルな宇宙―H・G・ウェルズ」2009年度(第5回)日本SF評論賞(日本SF作家クラブ主催/「S‐Fマガジン」後援)最終選考作品。「H・G・ウェルズ―ダーウィニズムの詩学」2011年度(第54回)群像新人文学賞評論部門最終選考作品(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐久間なす
22
私には評論家目線が皆無なので、『魔法少女まどか☆マギカ』を面白いとか感動するとか、そういう視点でしか見られませんでした。 それだから、Jホラーとの類似性などの様々な観点から『魔法少女まどか☆マギカ』を論じた今作には、刺激をうけることばかりで面白かったです。 残念だったのは、巴マミについての論が少なめだったこと。あとがきには、「あまりに謎な部分が多すぎて、本書ではあまりとりあげられなかった」と書かれていますが、その謎にもう一歩踏み込んでほしかったとマミ好きとしては思いました。2014/12/09
サイバーパンツ
21
キュウベえのことを鬼だ悪魔だなどと言うオタクたちもまた、キュウベえと同じく、悪意なく無感情に、二次元世界のキャラクターたちに成熟や成長を求めて、戦いを強いることで、彼女たちから、エネルギー(感動などの快楽)を取り出す(キャラクターを消費する)、incubator(孵卵器)となっているのではないだろうか。2016/08/15
きいち
20
小説版を読み終えて、まどか☆マギカについて誰かと語ってみたいと思ってたところだったので飛びついた(まわりにはいないもので…)本だったのだが、期待以上に応えてくれた。希望が必ず絶望へと変わる秩序に全体主義を見る視点、本当に解放なの?という疑い、手塚作品との共通性など、想起した場面や他につなげるものとの違いはあっても「そうそう、それ俺も思った」なんて会話をしてるように感じられるのはとても嬉しい体験だ。◇現在の作品は過去のさまざまな作品の要素を引き継いで織り上げたもの、ちゃんとこうやってつなげる人がいなきゃね。2013/09/29
みどるん
10
これは丁寧で分かりやすい批評。アニメを理解するのも大変だ。マンガやラノベも同様だが、ビジュアルや設定の表面に目がくらむ。構造を読み解かなくても表面だけで一定の満足感が味わえてしまう。真に楽しむには広いジャンルの知識を持ち、既存との差異を見出し意味を捉える必要がある。自分も流していた口なので不条理と負の条理の違いなどにハッとした。マミさんはしかたない。2014/11/25
梟をめぐる読書
7
『まど☆マギ』の世界では「希望を携えて戦地に赴くことが悲劇を呼ぶ」、いわゆる「死亡フラグ」が条理化してしまっており(〈希望と絶望の相転移〉)、このJホラー的な〈非人間的な秩序〉に対して、いかに少女たちは抗い、そして散っていったのか……というのが一応の論旨。あとがきによると「論者の個性をなるべく抑えて、作品のスタンダードな解釈を築くこと」を目指したということだが、『ゼロ年代の想像力』批判やウェルズ論の展開など、作者なりの野心も窺える。それにしても気になるのはやっぱりマミさん。「円環の理」とはなんだったのか。2011/08/11