目次
第1章 トマス・エイキンズと「写真的視覚」の発見
第2章 リアリズム絵画と写真の交錯
第3章 異なる近代、異なる視覚
第4章 社会的リアリズムと抽象表現主義をめぐる「文化冷戦」
第5章 指標的リアリズムからハイパーリアリズムへ
著者等紹介
小林剛[コバヤシゴウ]
東京大学教養学部教養学科アメリカ科卒業。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程退学。ブラウン大学アメリカ研究学部博士課程単位取得退学。現在、関西大学文学部総合人文学科英米文化専修准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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浦和みかん
3
近代以降のアメリカ美術史を("伝統的なリアリズム"ではない)リアリズムの観点で評する。そもそも今リアリズムを考察する価値はデジタル情報に囲まれた現代で何がリアルかを考えることにあるという。クールベやエイキンズの、理想主義的リアリズムではない指標的リアリズム(プンクトゥムや、普遍性に対抗する周縁性)。フェノロサが日本美術に見出した、イリュージョンを生まない(主客を脱した)線のパターン。資本主義マーケットにおける、政治性を持つ作品の排除。象徴の表意が習慣に依拠することへの反抗としての指標的リアリズム。など。2021/02/22
の
2
近現代アメリカ美術のリアリズムを辿る。リアリストと呼ばれることの多いアメリカだが、建国が産業革命後で宗教が形骸化した時代であり、西部開拓で自然を実用的な都市化していくのにも一躍買ったりと、現実主義である必要性は非常に高かったのだろう。その手法は徹底しており、人間の主観が入る視覚を否定し、写真を撮ってそれを絵画に写すのがスタイルとして確定していた。それらはウォーホルのシルクスクリーンや、FPSゲーム等のシミュレーションゲームまで通じている。リアリストであることがリアルを超越している。2014/06/13