内容説明
倒錯と執着からの逃避と真実の愛。平安の世に凛と咲く無垢な一輪の花にも似た五百重姫、そのたおやかな美しさを絡め取る帝の偏愛を耽美に描き出す。第13回歴史浪漫文学賞創作部門最終選考通過作品。
著者等紹介
東めぐみ[アズマメグミ]
京都女子大学文学部教育学科初等教育学専攻卒。実家の寺院で寺務を担当している。二十七歳の時、「千姫夢語り」を初出版。四人の子どもの母として育児のかたわら、執筆活動を行う。2013年、第十三回「歴史浪漫文学賞」において、「雪中花~とりかえばや物語異聞~」が入賞候補作として最終選考に残る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スケキヨ
9
「とりかえばや物語異聞」という副題がついていたので手に取りました。平安時代、幼いころ「女の子」を隠して「男の子」として同い年の主上に仕えていて、という物語。正直、帝から五百重への執着心の強さが怖かったです。眞樟を見ればちょっとは冷静になるかと思いきや、その後の対応に「終わったな」と思いました。文章が三人称(神の視点)に徹しきれていなくて、時々五百重の視点になったり、五百重には見えていない情景の説明になったりと混乱しました。2014/09/19
綾瀬ちかこ
3
舞台は平安時代。男女が入れ替わるとりかえばや物語をベースとした物語、帝に翻弄される五百重(いおえ)は数少ない親しき理解者を失い、心から愛した者からも引き離され運命に翻弄されていく。 束の間の幸せを手にしても、全てを奪われていき、官能的な物語のラストはあまりに残忍過ぎて……儚いです。2013/10/18